profile
吉田雅俊
1947年生まれ、北海道出身。 72年、日本航空に入社。クラボウではエンジニア事業部で環境保全機器開発部門に所属し、安田火災時代は団体保険制度の口座振替システムの開発チームに所属。79年に安田システムサービスを創業。82年、日税グループに参画。
https://www.nichizei.com/
※本サイトに掲載している情報は2020年9月 取材時点のものです。

INTERVIEW

「不易流行」を座右の銘としています。ビジネスでも事業の核となる部分を確立しながら、時代の流れに対応して変化していかなくてはなりません。環境や法令、経済状況が変わる度に壁にぶち当たったような気持ちになりますが、その都度乗り越えていくしかありません。その先に成長があるはずです。ビジネスはその繰り返しです。ダーウィンの進化論のように、賢い者や強い者よりも環境の変化に対応していける者がビジネスでも生き残っていきます。持続することがビジネスそのものなのです。

商社の内定を蹴ってパイロットに

吉田雅俊

私の両親はともに商人の家の出身。特に母方の実家は先祖代々大きな商いをしていて、丁稚さんが何人もいるような家でした。幼い頃はそこに入り浸っていたので、知らず知らずのうちに商人魂が培われたような気がします。父も商売をしていたのですが倒産し、小学生の頃に一家で上京しました。しばらく四畳半二間でトイレ風呂なしのアパート生活を送りましたが、貧しいながらも家族みんなで楽しく暮らしていたのであまり辛い思い出はありません。

医師に憧れ、国立大医学部を目指して二浪しましたが断念し、工学部に進学しました。商社に就職したいと思っていて、面接の前に練習のつもりで航空会社を受けてみたんです。よく知らずに受けましたが、実はパイロット候補の面接だったんですね。一次、二次と突破してしまい、最終まで進むと欲が出てきて、本命だった商社を蹴って航空会社に就職しました。操縦免許を取得し、2年間の米国留学も経験しました。大学復学後に就職した繊維会社ではエンジニア事業部で環境保全機器開発部門に所属し、留学経験を買われて米国企業との共同事業のメンバーに抜てきされました。

その頃、父がベンチャー企業の立ち上げに参加したんです。保険料の振替システムを作る事業内容で私も声を掛けられましたが、ちょうど同じ頃、保険会社でシステム開発の話があり、父と合流するのはここでキャリアを積んでからにしようと決めました。保険会社に転職すると、団体保険制度の口座振替システムの開発チームの一員となりました。この時開発されたシステムは、今も業界内で広く使用されています。
振り返ってみると、繊維会社も保険会社もまったく業界未経験のまま飛び込みましたが、会社としても初めての試みとなるプロジェクトに参画したので、キャリアがなくても問題なく、むしろその分野のパイオニアの一員となることができました。偶然ですが、そういう道を歩むことができたのは恵まれていたと思います。

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税理士とその関与先のために

岳父と創業メンバーの1人であった父が立ち上げた日税ビジネスサービスに入ったのは私が35歳の時です。全国の税理士とその関与先企業を対象に、保険料や税理士報酬の集金管理、事務代行など、バックオフィスのようなサービスを提供しようとしていました。まだ社員が10名に満たない頃で、これから会社が大きくなっていく過程に携わるのは面白いだろうなとわくわくしたのを覚えています。当時は口座振替も契約者管理も団体保険もすでに既存のサービスでしたが、これらを1つのシステムとして扱っている会社は他になかったので、うまくいくだろうと確信していましたね。私が入社してからは人集めに奔走しました。この事業の可能性ややりがいを熱く語って、思いに共感してくれる仲間を増やしていきました。

創業当初から何よりも大切にしているのは「全国の税理士先生と関与先のお客様のために」ということです。この軸がぶれることはありません。これをやれば儲かるとか会社が大きくなるというのではなく、税理士とその関与先にとって役に立つことは何か、彼らのニーズを追求し続けることがビジネスにつながっていくと思っています。税理士と同じ側に立ち、一緒に関与先のために仕事をするというスタンスで、これからも信頼関係を築いていきたいですね。信頼関係のないところに私たちのビジネスは成り立ちません。

コロナ禍で社会の状況が大きく変わりました。企業にとっては変革のタイミングでもあります。これから、ライフスタイルもビジネススタイルもますます変わっていくでしょう。私たちも、オンラインサービスをはじめ、今できることを模索しているところです。芋虫がさなぎの時代を経て変態して蝶になっていくように、今は企業にとってさなぎの時期なのかもしれません。大きな外的影響があっても、繭の中で変態しきった企業が生き残っていくのだと思います。

大切なのは、自分を信じることです。そして周りにいる人たちのセンスや才能を愛することです。他人の才能を羨むのではなく、愛することで良い人間関係が構築できます。そして、プラス思考でいることです。減点よりも加点主義で考えたほうが人生を豊かにする道につながりますし、人生の幅を広げていくこともできます。若者の皆さんは、自分の信じた道を堂々と歩んでください。

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