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山菅利彦
1963年生まれ、栃木県出身。両親とも経営者の家に生まれる。大学卒業後、IT(情報技術)業界へ就職。大手顧客の大規模システム構築プロジェクトを多数担当。企業のITリテラシー向上、ITコストの効率化を進めるために、2009年エージェント・スミスを設立、代表取締役に就任。22年秋、関連会社をグループ化し、エージェント・スミス・ホールディングスに。
https://www.agentsmith.jp/
※本サイトに掲載している情報は2022年10月 取材時点のものです。

INTERVIEW

私たちは、「クライアントと同じ立場、同じ価値観で、ITに最適解を」をミッションとして掲げています。現在、日本企業の情報システムのROI(投資資産利益率)はグローバル環境において、いまだ大きな遅れをとっています。日本企業の大半は、IT活動そのものを外注でまかなっているのです。ITの専門スキルを持たない社員がITを取り扱い、システムの構築や導入は、メーカーやベンダーの思うままに進められています。これでは本業のパフォーマンスに影響を及ぼしかねません。そこをお手伝いするのが我々の仕事だと考えています。

がむしゃらに働いて知識を吸収したSE時代

山菅利彦

父は町工場を、母は美容院を経営していたので、子供の頃から自然と「自分も将来は何か商売をやってみたい」と考えていました。就職活動では大手企業も受けましたが、将来起業するための勉強のつもりで創業間もないSler(システムインテグレーター)企業を選びました。当時ITは新しく、成長著しい業界の一つでした。まだITではなく「情報処理」という言葉が使われていて、コンピューターも冷蔵庫のように大型のマシンだった頃です。

大手クライアントのハイレベルな大規模システム構築プロジェクトをいくつも担当させてもらったおかげで、若いうちにたくさんのノウハウを身に着けることができたのは幸運でした。当時はとにかくがむしゃらに走り回っていた気がします。端から端まで知りたい気持ちが強く、何でも貪欲に吸収しようとしていました。私は当初インフラのシステムエンジニアでしたが、アプリケーションも同時並行で覚えました。当時はバブル全盛期だったので周囲は派手に遊び回っていましたが、連日遅くまで会社に残ってひたすらスキル習得に集中していました。当時の華やかな思い出は何もありませんが、辛いと感じたことはありません。むしろどんどんスキルを習得できていくのが楽しかったという印象です。

人が意図するところを察するのが得意な性分なので出世も早く、34歳で役員に抜てきされ、独立までの11年間は経営にも携わることができました。お客様も含め、様々な経営者の方々と接する機会に恵まれたことは、後に起業する上で大きな財産となりました。しかし、仕事に没頭するあまり、家族との時間を犠牲にしてしまったことは大きな反省点です。自社の製品やソリューションをお客様に一生懸命提案して買っていただく中で、「このお客様の状況なら他社の製品の方が合っているな」と思うこともありました。自社が売りたい製品を抱えていると、お客様にとって本当にベストな提案ができないのです。お付き合いが長く、信頼を寄せてくださるお客様ばかりだったからこそ、ジレンマにさいなまれました。

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自社製品は持たず、お客様にベストな選択を

45歳の時に独立して、エージェント・スミスを立ち上げました。初めは社員が2人しかいなかったので日々の業務に追われ、しばらく採用活動もままならず苦労しました。私たちは製品を絶対に売りません。そこで収益を追求してしまうと、私たちの中立性が維持できません。製品とは何のしがらみもない第三者としてベストな選択を提案するのが私たちの基本スタンスなのです。お客様にとって外注先でもコンサルタントでもなく、チームの一員として同じ目線に立つことで、最適なベンダーや製品を選び、内製化したほうがいいと判断すれば、自力でできるようになるようお手伝いをします。どれだけITに投資しても、自分たちにITのスキルや知識が身につかなければ、使いこなすことができず多くの無駄を生みます。少ない投資で最大限の効果を得るためにも、企業のIT力(ITリテラシー)の底上げは不可欠です。

今年から会社をホールディングス化したことで、関連会社との連携もよりスムーズになりました。お客様のIT製品の選定やベンダーとの交渉など、サービスの上流はエージェント・スミスが、システム運用のオペレーションやインフラ構築など下流の部分はグループ会社が手掛け、それぞれの強みを発揮する体制を整えています。営業やバックオフィスも統一することで、社内の業務効率も向上しました。起業から13年、ようやくIT業界で会社の認知度が上がってきたと感じています。今後は私たちの考え方やコンセプトをさらに浸透させていきたいと思います。

若者のみなさんには、若いうちにいろいろなことに挑戦することをお勧めします。がむしゃらにいろいろな経験を積むことで、自分にどんな能力があるのか、何が向いているのかが見えてきます。やるべきことが見つかれば、あとは突き進むだけです。若い時期に積み重ねた経験が、30代、40代以降に実を結ぶはずです。輝かしい未来を目指して頑張りましょう。

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