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山口昌良
1982年生まれ、東京都出身。2008年日本大学歯学部卒業後、日本大学付属歯科病院に就職。09年、哲学堂デンタルクリニック勤務。11年、吉祥寺まさむねデンタルクリニック勤務。11年末に西永福歯科を開院。
https://nishieifuku-shika.net/
※本サイトに掲載している情報は2015年8月 取材時点のものです。

INTERVIEW

優秀な経営者は「お任せ力」があると思うんです。どんなに仕事ができる人でも、一人でできることには限界があるもの。お任せ力がない人は、安心して仕事を人に任せることができず、結局自分でやってしまうんです。それでは組織は大きくなりません。私は大ざっぱな性格なので、あまり心配せずにスタッフに任せています。スタッフにはもちろんしっかり努力してもらいますが、「万が一駄目なら私が責任を取るよ」という気持ちでやっています。よく自分にも言い聞かせるんですよ。「死にやしない」と。どんなトラブルが起こっても、命まで取られてしまうようなことってないですからね。

削らない治療法があった

山口昌良

3人兄弟の末っ子だったので、とてもかわいがられて育ちました。一人で黙々と遊ぶことも好きで、プラモデルを作ったり絵を描いたりして、細かい作業に没頭することもよくありました。その時に培った手先の器用さが今の仕事に役立っているのかもしれません。

兄が家業を継ぐことになっていたので、私は資格のある職業に就いて外に出ないといけない、ということは漠然と考えていましたね。高校生の頃に歯列矯正を受けていたのですが、数年通っていたのでクリニックの先生や衛生士さんとはすっかり親しくなり、歯科はとても身近な場所でした。そのうち「患者さんと一対一で向き合い、感謝される仕事っていいな」と魅力を感じるようになって、私も歯科医師を目指すようになりました。

勉強している時に気付いたことですが、医科では新しい材料や治療法が次々に生まれているのに、歯科の、削って穴を埋めるという作業は何十年も変わっていないんですよね。他の治療法だって必ずあるはずだと思った私は、アンテナを張って情報を集め、勉強に励みました。

削ったり抜いたりしない治療法のことを知ったのは、勤務医時代のことです。面白いと思ってすぐに話を聞きに行きました。「ドックスベストセメント」という治療法で、虫歯を削らずに薬で殺菌して蓋をするという治療法です。

この治療法を学んだ後、開業を決意しました。肝が据わっているほうだと思いますが、開業のために多額の借金を背負った時はさすがに怖かったですね。不安で眠れない時もありました。ドックスベストセメントは保険治療外ですが、今来ていただいている患者さんの9割近くがこの治療法を選んでくださっています。

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ちょっとした気遣いで状況は変わる

開業当初から複数の店舗を持ちたいなと思っていました。近々、3件目の歯科をオープンします。規模を大きくしたいというのは、もうけたいというわけではなく雇用を増やしたいのです。仲間は多いほうが楽しいし、日本の経済にとっても雇用は多いほうがいいですからね。それに、自分がどこまでやれるのか見てみたい気持ちもあります。

私が他の経営者よりも優れていると思うところは、ちょっとした気遣いや声掛けでしょうか。ハード面のものを導入するのはお金がかかるけれど、気遣いや声掛けなんてタダですし、それだけで本当に状況は変わってくれるものです。働く者にとって、報酬の喜びは一瞬だけ。そこに、「やりがい」を与えてあげるのも院長の仕事だと思っています。

スタッフたちには感謝の気持ちしかありません。彼らと仕事をする時間は家族や恋人と過ごすよりも長いので、楽しい時間じゃないと駄目だと思うんですよね。もちろん楽しいだけではなく、患者さんに喜んでもらわないといけません。スタッフと患者さんと自分が三位一体で、みんなが幸せになることをいつも考えています。

細かいマニュアルを作っている病院ってよくありますが、私はその辺に関してはアバウトです。スタッフには、自分が思う「患者さんが一番喜ぶこと」を実践してほしいですね。

実は、40歳を過ぎたら現場を退いて経営に専念しようかと思っているんです。歯科医の仲間から経営の相談を受けることも多いので、コンサルのようなこともやってみたいですね。飲食店を開くのもいいなと思っています。

社会生活を送る上で、人間性や人徳を高めることはとても大事なことだと思います。そのために必要なのは「元気の良さ」「礼儀正しさ」「素直さ」。これさえあれば、難しい漢字が読めるかとか計算が速いかなんて関係なく、人として必然的に成長できると思っています。常に目の前のやるべきことに全力で取り組むことが大切です。

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