
当社は1991年に創業していますが、当時から感じていたのは企業経営者の後継者不足でした。とくに中小企業の多くは経営計画の立案を行っておらず、事業承継もままならない状況。そこで人材による専門的な知見やコンピュータを活用し、後継者不足解消に向けた会社を設立しようと考えたのです。今後もM&Aにおけるリーディングカンパニーとして1件でも多くの質の高いM&Aを成立させ、我々としての社会貢献を続けていきたいと考えています。
グローバルな視点から企業を見つめて

社員が6人程度だった創業当時に、日経新聞に事業をアピールする全面広告を出した途端に1週間で400件近くの問い合わせがありました。そうした反響からも分かる通り、それだけ後継者不足が社会問題化していたのです。それらを解決する一つの足掛かりが、M&Aによる事業承継でした。
私は若い頃から海外から見た日本に興味を持っていました。父は観世流能楽師、母は裏千家茶道教授という家庭で育ち、3歳で能の初舞台を踏んでいます。大学在学中の1965年には能を世界に広めるべく、「全米能楽公演ツアー」を自ら企画。全米35州を巡り、20以上の大学で4カ月に渡って能楽公演を行いました。
現在も仕事仲間を連れてシリコンバレーの視察を毎年のように行っていますが、学ぶ点は多くあると感じます。アメリカは考え方が合理的で、チャレンジ精神も強い。若いうちから目的意識を持っていて、日本の若者に比べてビジョンが明確です。私はアメリカから帰国後、そうした知見を生かして外資系コンピューターメーカーに就職し、コンピューターシステムの営業に従事しました。この時の人脈が現在の日本M&Aセンター会計事務所ネットワークの基礎になっています。


圧倒的な情報網で、中小企業の命を救う
現在、当社の強みとなっているのは、約1000件に及ぶ会計事務所との提携や、全国の約9割に及ぶ地方銀行との提携、そのほか大手証券会社やメガバンクとの提携による圧倒的な情報網です。そして公正な株価評価を行うための経験と実績を有し、あらゆる分野の専門スタッフがM&A後のアフターケアまで行っています。今後は子会社を新たに立ち上げ、全面的な支援を行えるコンサルティングにも力を入れていく構えです。そうしたM&Aに関する全てを一任してもらえることが、当社独自の強みといえるのではないでしょうか。
当然ながら、企業は社会に身を置く以上、社会貢献ができなければいけません。そのためには継続させていくことが不可欠となるため、後継者の有無が非常に重要なテーマになっていきます。
しかし日本の65%近くの中小企業が後継者不足の問題を抱えており、実際に様々な影響が出ています。今後は人口が減少していく中でモノやサービスの需要が減り、労働力も失われていくでしょう。多くの社会問題を抱えている現状の中で、M&Aが果たす役割はとても大きなものだと考えています。
そして企業の収益を上げるためには、お客様の満足度を上げなければいけません。また安定力と成長に向かうための努力をし、先にも述べたように、社会貢献をしていかなければいけません。時代は常に変化していくわけですから、社会に還元していくための活動があって初めて、時代を読む力を養っていくものだと思っています。
その中で何より大切にしていることは、「自利利他」の精神です。これは当社が信条として掲げている言葉の一つで、利他を実践すれば巡り巡って自利となるということ。当社がマザーズ上場を果たした際、経営を改めて学ぶためにドラッカー塾に通いましたが、ドラッカーの言葉に印象的なものがあります。「企業は使命感を持ち、社会にとって正しいことをやっていかなければいけない」。つまり社会にとって必要とされなければ、自社の利益も上げられないということです。
今後は国内でのネットワークを一層強固なものにしつつ、国内の需要に目を向けるだけでなく、よりグローバルな視点で中堅・中小企業の総合的な経営支援を行っていきたいと思います。
いまだ日本国内で後継者不足は続いていますが、おかげさまでM&Aによる事業承継も身近になりつつあり、私たちのやってきたことの成果がようやく表れ始めてきました。自利利他の精神で、少しでも社会に還元できるよう企業のお手伝いに努め、さらにまい進していければと思っています。