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津山謙
1973年生まれ、山口県出身。筑波大学大学院国際政治経済学研究科博士課程前期修了、ハーバード大学ケネディ行政大学院修了、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際関係学専攻後期博士課程修了。国会議員政策担当秘書も務め、安全保障関連をはじめとした多くの法律の審議・成立に携わる。ハーバード大学ベルファー研究所リサーチ・アソシエート、東京富士大学非常勤講師も兼務。2019年、サンステイ・グループホームを設立。
https://www.sunstay.co.jp
※本サイトに掲載している情報は2023年7月 取材時点のものです。

INTERVIEW

誰もが、誰かに支えられて生きています。私だって一人では生きていけませんし、誰かのサポートが必要なのは皆同じです。その中で、サポートの必要量がちょっと多い人たちを「障がい者」と定義しているだけで、障がいはあくまでその人の個性にすぎません。障がい者グループホームは、それぞれの個性が互いに支え合い、互いの人生を輝かせる場なのです。すべての人に幸せになる義務があります。それを成し遂げるためのコミュニティーをつくること、それが弊社最大の目的です。

誰一人取り残さない社会へ

津山謙

弊社は障がい者福祉事業を行っている会社で、知的障がいや精神障がいをお持ちの方が安心安全に生活できる戸建て住居のグループホームを運営したり、相談支援を行ったりしています。グループホームは一棟あたり4人から7人が入居されており、それぞれの個室でプライベートを守りつつ、一緒にご飯を食べて家族のように暮らしています。関わる人全員のあたたかい心の触れ合いを大事にしていて、日々の街歩きをはじめ、お花見や流しそうめんなど季節のイベントも開催しています。通院の同行など個々に必要なサポートも実施しています。このホームが、利用者様とスタッフ全員が「ここに居てよかった」と満足できるような場所、自分の人生を輝かせていく場所であってほしいと願いながら、日々運営しています。

30代前半にハーバード大学大学院ケネディスクールで学んだ精神は、障がい者福祉に取り組む上で非常に役立っています。そこでは世界中から集まった未来のリーダー候補たちと、いかに世界を良くしていくかを朝から晩まで議論しました。帰国後は、国会議員政策担当秘書として参議院に勤務したり、国際関係学で博士号をいただいたりしながら、どうしたらすべての人が幸せになる社会をつくれるのかを考え続けました。その中で痛感したのは、現実の問題や課題を一つひとつ改善していくことでしか、世界は良くなっていかないということです。特に障がい者の人々が抱える課題は千差万別で、理想論ではどうにもならないことばかりですが、具体的に一つひとつ解決していけば、確実に社会は良い方向に向かっていくと気付いたのです。

弊社を創業したきっかけは、障がい者福祉事業に行きづまってしまった方から相談を受けたことです。同じような事業体がいくつかあったので、私がそれらを引き継ぎ、適正規模に拡大させて経営を安定させることにしました。資金繰りや人繰りの問題、利用者様が抱える問題は絶えず、大変か大変じゃないかと言われたら、もちろん大変です。でも、どんな仕事をしても大変なのは同じ。何をやってもどっちみち大変なら、その先にたくさんの笑顔が待っていることをやった方が、やりがいを感じました。

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世界に変革をもたらせ

今注力しているのは、利用者様とスタッフの満足度を最大化することと、合理的で効率的な経営を両立させることです。心と心の触れ合いばかりを優先すると効率性が失われてスタッフが疲弊してしまいますし、合理主義一本になってしまうと楽しくなくなってしまいますから、これらのバランスがうまく取れた最適な形を再現可能なモデルとして仕組化することを目指しています。私たちのような株式会社が福祉事業を運営することで、十分な人員配置とスタッフ教育、定期的なイベント開催や通院同行などの手厚い支援をきちんと行える、永続的な事業モデルを確立できると思っています。

今、障がい者の居住施設は圧倒的に不足しており、入居を待っている方がたくさんいらっしゃいます。私の元にも複数の自治体からグループホームの展開を望む声が届いていますし、新しいホームへの入居募集をするとお問い合わせが殺到しているので、一日も早く弊社の運営と経営の質を高め、スピーディーな全国展開をかなえていきたいです。サポートを必要としている方々に支援の手を届けていくことが私たちの使命ですし、縁あってこの事業に関わらせていただいているからには、なんとしてもそれを達成したいと思っています。私たちと同じ志を持っている方は全国にたくさんいるので、その方たちと手を取り合いながら、皆が幸せになれるコミュニティーを一緒につくり続けていきます。

私の道しるべは、ケネディスクールで学んだ精神「Make a difference in the world(世界に変革をもたらせ)」です。これは世界全体を変えていこうという大仰な話ではなく、各々が所属している会社・クラブ・家族などのコミュニティーで、一人ひとりが目の前の問題を一つひとつ解決していきましょう、という意味だと理解しています。人々の幸せを第一に考え、目の前の困難や課題から逃げることなく果敢に行動し、あらゆる努力を尽くす人が増えていけば、確実に世の中は変革し、皆が幸せになっていくと信じています。すべてを両立するのは難しいですが、今やらなかったら永遠に成し遂げられませんから、今日も私は何か一つでも「変革をもたらす」ために、四苦八苦しながら頑張っています。

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