- 手島由紀子
- 1972年生まれ、群馬県出身。短大を卒業後、貿易会社に勤務。96年に渡米し、語学と経営学を学び、一時帰国を経て再び渡米する。2009年にMBA(経営学修士)取得。14年、手島精管株式会社代表取締役社長に就任。19年、群馬県総合計画策定の有識者メンバーに起用される。
- http://www.teshima.co.jp/
私が一貫して大切にしているのは「やるべきことをやる」ことです。自分の将来や他人に対して疑念を持つ時もありますが、まずは今達成するべきタスクに集中する。やり遂げた後の達成感を味わう一プロセスとして、着実に積み重ねていくことが大切だと思っています。当社は約50人規模の中小企業ではありますが、グローバルマインドを持って海外進出に積極的に取り組んでいます。
2023年から組織づくりに改めて力を注いでいます。かつてはマネージャーや主任などの管理職を配置していましたが、中間的なポジションを廃止し、一人ひとりの従業員を専門性や役割を持ったスペシャルスタッフとして扱うようにしました。その結果、組織は以前よりも向上したと感じています。また、データサイエンスも積極的に活用しています。当社では生産管理にITシステムを導入し、蓄積されるデータは現在では、あくまで社内の観点でいうとビックデータ化しており、将来的にはAIを活用したいと考えています。一般的にデータサイエンスと聞くと、世界規模のデータを扱っていると想像されますが、私は当社内の必要性に合わせて活用しているだけだと考えています。変革自体が目的ではないのです。
誇りに思っているのは、従業員たちが良好な人間関係を築いていることです。特に製造スタッフたちの仲の良さは強く伝わってきます。私もコミュニケーションを重視し、直接従業員とコミュニケーションを取ることもあります。社内だけでなく、面接に来ていただいた方とのコミュニケーションも同様です。私は率直なコミュニケーションを心がけており、面接当初は緊張してこわばっていた方も終了時には晴れやかな顔になることがあります。日本は本音と建前の文化が根強いことも理解していますが、私自身は「毎日、本音で一生懸命生きよう」と考えています。
現在、当社では一緒に働いてくれる新たな仲間を募集しているのですが、 最近では、若い世代の応募者の中で、家庭や子育てとの両立が難しいとの声が多く聞かれます。その声に真摯に応え、当社はKIC(キック)という託児スペースを兼ねた事務所を設立しました。小学生以上を対象にし、従業員のお子さんを当社の車で送迎するなど、柔軟かつサポーティブな環境を整備しました。これにより、従業員一人ひとりがキャリアアップに集中できる環境を提供することを目指しています。
地方の製造業においては、依然としてブラック企業のイメージが根強く残っています。しかしながら、当社は組織づくりやITシステム化、そして子育て中の従業員の支援など、さまざまな取り組みを通じて、プロフェッショナルとして働ける環境を整えています。これを通じて、地域社会における製造業のイメージを前向きなものに変え、地域の活性化に貢献していきたいと思っています。
ビジネスの舞台を世界に広げる上で、スピーディーなコミュニケーションと積極的な発信は欠かせません。当社では、質問に迅速に回答することやリアルタイムなコミュニケーションを重視し、知識と経験の積み重ねによって、これらのスキルを強化しています。また、SNSなどのプラットフォームを活用し、当社の取り組みや価値を積極的に発信することで、社会に対する貢献を広く伝えています。 その上で、私たちは常に成長を続けることを目指していますが、そのためには戦略的な計画と着実な行動が必要です。私たちは、今後も目の前の課題に真摯に向き合い、永遠に続くような会社を目指しています。 当社は、新たな働き方の提案や地域社会への貢献を通じて、製造業のイメージを変革し、持続的な成長を実現するために努力を続けていきます。