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田中幸治
1973年生まれ、大阪府出身。高校卒業後、父親の働く鉄工所に勤務。その後、知人の紹介によりビルメンテナンス業界へ。働くうちに未来に目標を持てるような会社を自分で作ろうと決意し、独立。一生懸命に仕事をすることの大切さを掲げている。
https://miq2017.net/
※本サイトに掲載している情報は2021年4月 取材時点のものです。

INTERVIEW

とかく要領の良い人や人前に出るのが得意な人ばかりが脚光を浴びる世の中ですが、この会社は、学生時代にクラスで目立たなかったような人でも主役になれる場所でありたいと思っています。特別な能力は必要ありません。人付き合いが苦手でも、愛想がなくても、一生懸命掃除をすればお客様に喜んでいただけます。人の目につかないところも手抜きをせず、仕事に対して真摯であることが何より大切です。そんな「縁の下の力持ち」がたくさん活躍してくれれば、会社としての力も大きくなると信じています。

従業員やその家族の生活を預かるという責任

田中幸治

父は鉄工所員で母は着物職人。職人一家で育ちました。父の仕事は日当も良かったので、高校卒業後は私も同じ道を歩もうと鉄工所に就職しました。工場で、人が見ることのないところまで手を抜かず美しく仕上げる先輩たちの姿からは職人のプライドが感じられました。新人の私が仕事や技術を手取り足取り教えてもらうことはなく、溶接でも何でも「見とけ」と言って、目の前で作業を見せてもらうだけでした。時間は掛かりましたが、父と同世代ぐらいのベテラン職人の仕事をひたすら見て学び、技を盗む術を身に着けました。今、「誰も仕事を教えてくれないんです」と嘆く若い人にもぜひ、他の人を見て仕事を盗むということを実践してほしいですね。

また、何事も実際にやってみて失敗しないと分からないものです。棒を溶接してくっつけることは誰でもできますが、歪みが出ないようにまっすぐに溶接するのはまさに職人技で、失敗を繰り返すことでしか習得できませんでした。すべてのものに作り手がいて、そのすべてのものに作り手の技術がつまっていることを学びました。その後、先輩の一人に誘われて一緒にビルメンテナンスの会社を立ち上げました。しかし従業員の評価制度もなく、先行きも見えず、「会社」としての体を成していませんでした。ただその日その日をこなすだけで何の面白さもやりがいもなく、従業員たちはまるでベルトコンベアに乗って仕事をしているような気持ちだったと思います。これでは続くはずがありません。もっと未来に目標を持てるような会社を自分で作ろうと思い、独立しました。

自分が社長としてやっていけるのか漠然とした不安はありましたが、従業員を雇い始め、彼らとその家族の生活を預かっていることを自覚してからは「後には引けない」と身が引き締まりました。

  • 田中幸治
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人に対して誠実に、正直に

ビルの清掃作業は、人の出入りのない時間帯に仕事をすることが多い業種です。人目がないなかでする仕事だからこそ「真面目に」「嘘をつかない」ということを大切にしながら、信頼を積み重ねています。そのためにも、書類の提出や鍵の管理、報告・連絡・相談などの細かいルールを守ることを会社全体で徹底しました。どれもささいなことですが、守れなければ一気に信頼を失うことにつながりかねません。私はいい加減なことが嫌いな性分です。偶発的な失敗は仕方ありませんが、失敗を防ぐための準備を怠ることに対してはかなり厳しく叱りました。反発する従業員もいました。しかし、ルールのない自由は無法地帯と同じです。枠をはみ出してしまうとそれは仕事ではありません。うっとうしく思われても、「自由をはき違えてはいけない」ということを何度も言い聞かせてきました。間違ったことをした時に怒って律してくれる存在は必要ですから。

私がいつも意識しているのは、「普通」の会社であることです。生活に困らない安定したお給料がもらえて将来の心配もない、そんな普通の会社であり続けることは、小さな会社にとって簡単なことではありません。福利厚生を充実させ、ボーナスや退職金で頑張った人がちゃんと評価されるような会社をみんなで力を合わせて作り上げていきたいですね。ゆくゆくは県外進出、海外進出も視野に入れて雇用を拡大し、会社を大きくしていくことを目標にしています。会社の利益が上がれば、より従業員に還元することができ、幸せになってもらうことができるはずです。

創業当初から、経営者仲間や従業員、お客様など、多くの人に助けられ、支えられてここまで来ました。今度は私が会社を通じて多くの人を支えていく番だと思っています。人は財産です。人とのつながりや出会いの大切さを強く実感しています。もちろん良い出会いばかりではありませんが、それを恐れていては誰にも出会えません。
人とのかかわりには煩わしいこともありますが、誠実に接していれば大きくこじれることはありません。人を利用してお金もうけをしたり自分だけが良い思いをしたりしても、最終的にそれ以上のものを失ってしまいます。人との信頼を築くためには、誠実、正直であることが一番です。

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