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竹内俊樹
1959年、東京都出身。82年早稲田大学法学部卒業後、精密機械メーカー、経営コンサルティング会社を経て、98年フリーの人事コンサルタントに。2006年、クリエイティブワークス設立。アセッサーとして新入社員から役員まで4万人の評価を行い、独自のアセスメント哲学や人材論を展開。
https://www.cr-works.co.jp/
※本サイトに掲載している情報は2023年2月 取材時点のものです。

INTERVIEW

自分がしたことで相手が感謝、感動してくれる姿を見ると、それまでの苦労も吹き飛びます。「生きていてよかった」と感じる瞬間です。余計なことは考えず、一切の妥協をせず、自分にできる最高の準備をすることを大切にしています。コミット(徹底)すれば、迷いがなくなります。

結果よりもプロセスに着目した人材アセスメント

竹内俊樹

30代の時に転職した経営コンサルティング会社で、一回り以上年上の社長に対して思うようなインパクトが残せず悩んでいた時、知人から「人材アセスメントのアセッサー養成講座に来てみないか」と声を掛けられました。言われるままに受講してみると、人の特性や能力に特化したコンサルティングというのは新鮮で面白く、狭く深く突き詰めるのが好きな私にはトータルな経営コンサルティングよりも性に合っているかもしれないと感じました。

ほどなく勤務していた会社を辞め、フリーランスとして人材アセスメントの世界に飛び込みました。当時、経営コンサルティングのほか、中小企業診断士の資格取得講座の講師としてベースの収入がありましたので、独立することにさほど迷いはありませんでした。人材アセスメントでは、組織の従業員に対して、様々なシーンを想定した演習を行います。たとえば厳しい決断を迫られた時、顧客からひどく叱られた時、トラブルに直面した時など、どのような行動に出るかを観察し、一人ひとりの職業適性や能力特性を診断します。さらに結果を本人や組織に伝え、活用方法や今後の課題をフィードバックするところまでが私たちの役割です。最初は楽しく仕事をしていましたが、1、2年経つと、悩むことが多くなりました。私たちが測ろうとしているのは「能力」「人物像」といった、形のないものです。アセッサー(アセスメントする人)や演習内容が違えば、あるいはアセスメントを受ける受講者の気分や体調次第で結果も変わってしまうのではないかと考えるようになり、自分が導き出す評価が本当に正しいのか分からなくなってしまったのです。

思い悩んだ末、演習の結果よりも、そこに至るプロセスに着目して評価する独自のアセスメント方法を確立しました。「うまくできたか」という結果で能力を測るのではなく、プロセスから特性を探ることで、受講者がどのような価値観や行動様式を持ち、どんなことに関心を持っているのかが見えてきます。そこから、本人も気付いていない意外な才能や、今後ぶつかりそうな壁を予測することができるのです。人材アセスメントは今後の職業人生を予測するツールだと確信していますが、それが正しいかどうか分かるのに何年もかかります。クライアントの信頼を得るために、演習内容や受講者の言動、それをアセッサーがどう解釈し、どう評価したのか、すべての工程を明示することを心掛けています。

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誰もが自分の個性を生かして働ける社会に向けて
正しく人材アセスメントを活用してほしい

アセッサーとして25年、4万人を超える人のアセスメントを行ってきました。25年間、言い続けていることがあります。「言われたことをきちんとこなす優秀なオペレーターばかり」「先頭に立って新しいことをやってみようという気概のある人材がいない」ということです。才能ある多くの人が、階層型組織に埋もれてしまい、頭角を現すことはありません。この状況は25年前から変わっていません。人事部や経営者が本気になっていないため、既存の組織、ルール、慣習を壊さず、従来の枠の中で、小手先の対策ばかり行っていのが現状です。

日本の組織では多くの人が「ミスは許されない」「上の人の言うことは絶対」「周りと歩調を合わせて」「ものを言うなら結果を出してから」というようなビジネススタンスで働いています。組織は社員に対して、このスタンスのままスキルばかりを伸ばそうとするので、リーダーやイノベーターが育たないのです。人の根底にある価値観は、簡単に変えることはできませんが、ビジネススタンス(態度)やスタイル(習慣)から徐々に変えていくことはできます。そのためには、組織のトップ、人事部、現場が覚悟を持って組織の風土や制度、階層型の組織構造を変えていく必要があります。私たちもアセッサーとして組織を全力でサポートしながら「人が育つアセスメント」「組織が活性するアセスメント」に取り組んでいきたい。若く野心あふれるリーダーが活躍できる土壌があれば、新しくユニークなビジネスが次々と生まれ、きっと日本は変わるはずです。人材アセスメントを通じて、誰もが自分の個性を生かして働ける、好きなことができる、そんな日本の社会にしていきたいと思います。

人生は「自分を抑制して安全に生きるか」「自分の可能性を信じて挑戦的に生きるか」の選択の連続です。一つ言えるのは、若いうちの失敗は人生の宝になるということです。若い時にした失敗は取り戻すことができます。そして失敗からはい上がってこそ、強くなれます。若者のみなさんは、失敗を恐れず、他人の意見に流されず、自分で決めた人生を楽しんでください。

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