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竹内美奈子
新卒でNECに入社し、人材育成、IT(情報技術)システム構築の統括等に従事。2003年グローバル人材コンサルティング会社に入社、07年から代表取締役副社長。13年TM Futureを起業。人材育成、組織開発、リーダーシップ開発等を中心に、ガバナンス構築や組織改革での経営者支援、女性リーダー育成に取り組む。Bリーグ理事(19年まで)、日本車いすバスケットボール連盟理事、日本バスケットボール協会理事、滋賀銀行、日本M&Aセンター、三菱製鋼社外取締役を務める。
https://tmfuture.co.jp/
※本サイトに掲載している情報は2022年5月 取材時点のものです。

INTERVIEW

仕事やキャリアは、人生において大きな喜びや幸せを生み出します。社会に貢献できる場を見いだし、その人を成長させ、自己実現をかなえ、夢や希望も生み出します。今時の言葉で言うと「パーパス」や「ウェルビーイング」です。皆さんもぜひ、仕事やキャリアを通して自分の「パーパス」を見つけ、「ウェルビーイング」を実現してください。

仕事観をつくった母の背中

竹内美奈子

私たちは、人と組織の課題に取り組み、双方の成長を促すための戦略的な「タレントマネジメント」の実現を支援しています。私たちの考える「タレントマネジメント」とは、人が能力を見いだし、育て、発揮すること、そして組織に貢献し、組織も成長していくことです。人と組織の問題は当然どの会社も抱えていますが、実はどこの問題も根は一緒です。その上で私たちは、それぞれの問題と課題をじっくり聞き、一緒にアプローチ方法を考えるだけでなく、お客様が自立して運営できるようになるまで伴走しています。例えば、教育制度や人事制度を設計して終わりではなく、共にプロジェクトを組み、マネジャーたちと一緒に人事制度をつくり、評価のトレーニングを行い、評価したものを皆で一緒にチェックするところまで伴走しています。

私が大卒でメーカーに入り今まで働き続けているのは、両親の影響が大きいと思います。父はメーカーの工場に勤めていて、私はその工場の広大な敷地内にある街で育ちました。母は夜間大学を中退してお見合い結婚をしたのですが、子育てをしながらも会計の仕事をしたり、長年大きなやりがいを持って点訳(文字を点字に翻訳すること)のボランティアをしたりしていました。88歳の今でも、パソコンを使って点訳を続けています。そんな母の背中を見て、幼いころから「私もやりがいのある仕事を全うしたい」と考えていました。私が就職活動をした時代は、大卒の女性には就職先が少なく、唯一大量に採用していたのがコンピューターメーカーでした。女性が活躍していて長く働ける環境に魅力を感じ、NECに入社しました。

NECでは10年間人材育成に携わり、その後システム開発の統括等に従事しました。20年勤めた後に人材サーチ会社に入社し、ハイパフォーマー採用の支援をしていました。そこで痛感したのは、採用だけでは人と組織の問題は解決できないということです。せっかく私たちが良い人材を見つけて、ご本人に膨大なエネルギーを使って転職してもらっても、うまく組織になじめなかったり、力を発揮できなかったりするケースが多くあります。それは採用だけではなく、育成や評価の問題、組織文化の問題まで介入していかないと解決できません。当時の会社ではそこまで入りこむことができなかったので、「それなら独立して自分でやろう」と考えたのが起業のきっかけでした。

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母の言葉が背中を押してくれる

今大切にしているのは、人と組織に対する洞察力を高めることです。正しい処方箋を書かなければ、せっかく仕組みやシステムを作っても形骸化してしまいますから、まずはその組織の現場に行って話を聞いたり、起きていることを注意深く観察したり、コミュニケーションを取ったりして、裏の状況までしっかり読み取ります。答えは現場にしかないので、それを探しに行くのです。ときには膨大な時間をかけて企業文化まで変えなくてはならないこともありますが、小さなことからでもやれることはたくさんあります。人は何歳になっても変われるし、組織は必ず変われます。だからこそ、私はしっかり踏み込み、とことん寄り添っています。

例えば長年サポートしているある会社は、はじめは社員同士が話し合うことすらできなかったのですが、2~3年たった頃から社員の目つきが変わってきて、提案が出てきたり、新規事業が生まれたり、女性管理職が誕生したりしてきました。人が成長することで当初は考えられなかったような成果が出て、何よりうれしかったです。これからも、一つでも多くの組織をよくしていきたいと思っています。相手が弊社のクライアントでも、スポーツ団体でも、「目の前の組織を良くしたい」「人がいきいき働く場であってほしい」という思いは変わりません。

私がくよくよしていると、母はいつも「道は開けるから」と言ってくれました。この仕事をやっていると、私が正しいと信じて提案したことが理解してもらえなかったり、相手には受け入れがたいことだったりして、玉砕することもあります。くじけていると、母の「道は開けるから」の言葉が頭に浮かんできて、また頑張れるのです。悶々(もんもん)と悩むこともありますが、チャレンジしたら必ず次の展開があります。今心の底からそう言えるのは、たくさん玉砕して来たからです。皆さんも、まずは目の前のことにチャレンジしてみてください。やってみて違うと思ったら、そこから軌道修正すればいいのです。

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