profile
高橋保明
1983年生まれ、大阪府出身。17歳で内装仕上げ工事業界へ足を踏み入れる。4年間の修行を経て独立。現在、Tdecoration、マックススペースの代表取締役を務める。その他にも、大阪内装仕上技能士会理事、大阪室内装飾事業協同組合青年部員を務める。GNO [義理 人情 恩返し]この3点を常に心がけて、出会いを大切にし、仕事に取り組んでいる。2021年秋、DIY教室「REVOLABO」オープン。
https://www.tdeco.net/
※本サイトに掲載している情報は2021年8月 取材時点のものです。

INTERVIEW

内装の仕事を始めたばかりの頃は、自分の技術を磨くことしか考えていませんでしたが、いつの間にか、社員のため、お世話になった人のため、そして内装業界の発展の為に走り続けることができるようになっていました。「損して得とれ」という言葉が好きです。いつか周囲に認められ信頼を得られると信じているので、泥をかぶることもためらいませんでした。

自分の仕事はみんなが帰ってから

高橋保明

17歳の時に内装屋の求人広告が目にとまり、インテリアという言葉に引かれてこの仕事を始めました。何も知らずに興味本位で飛び込んだので、実際にやってみると「こんなにきついのか」と愕然としました。現場では暑さ、寒さに耐えながら、カッターナイフ1本で壁紙や床材を寸分の狂いもなく貼っていかなくてはなりません。一筋縄ではいかないのですが、細かい作業は好きだったのであまり苦になりませんでした。地道な作業の繰り返しで少しずつ完成に近づいていく過程は面白く、美しく仕上げることにこだわるうちにどんどん没頭していきました。きついことも多い仕事ですが、お客様の「ありがとう」の言葉だけでやる気がわきました。おそらく私にとって天職なのだと思います。美しい仕上がりにこだわるのは、お客様のためでもあり、自分の満足のためでもあります。

21歳で独立し、その7年後に法人化しました。一緒に働く仲間たちの生活まで背負うのですからそれなりの覚悟は必要でしたが、迷いやプレッシャーはありませんでした。会社という大きな傘の下で従業員たちが安心して働ける環境を整えることができたのは良かったと思います。

私は長男ですし、幼少期からあまり年長者に甘えたり頼ったりしたことがありません。おかげで今も「リーダーとしてこうでなければいけない」と構えることもなく、自然体のまま経営者でいることができていると思います。普段は現場に出て朝から夕方まで若手と一緒に汗を流しますし。「高橋さんのようになりたい」と言って慕ってくれる若手もいますが、おそらく無理でしょう。私は自分にしかできない仕事は誰もいない時に一人でやると決めているので、現場が終わってみんなが帰った後も事務所に残って深夜まで事務作業をしたり新事業の構想を練ったりしています。きっと誰にも私のまねはできませんし、まねすべきだとも思いません。

  • 高橋保明
  • 高橋保明

DIY教室や職人のトレーニングルームも

この秋、新しい取り組みの一つとしてショールーム併設型のDIY教室「REVOLABO」をオープンします。利益のためというよりも、クロス貼りやタイル貼りの楽しさを多くの人に知っていただき、内装やインテリア業界に興味を持つ若者を一人でも増やすことができればと考えています。ショールームには常時5000点以上の壁紙をそろえ、さらにオーダーメイドの壁紙を作ることも可能なので、きっとDIYの未経験者の方にも「部屋にこんな壁紙を自分で貼ってみたい」とわくわくしていただけるはずです。

教室内には職人のためのトレーニングルームも用意しました。駆け出しの内装職人は、現場で貼る作業を任せてもらえるまでは雑用がメインなので、なかなか技術を磨く機会がありません。面白くなくて途中で辞めてしまう若者もたくさん見てきました。せっかくの貴重な若い職人が辞めてしまうことは、業界にとっても大きな損失です。トレーニングルームでは、好きな時間に好きなだけ施工の練習ができます。社内外のたくさんの職人さんに思う存分活用してもらい、技術を磨いてこの仕事の楽しさや奥深さを知ってもらえればうれしいです。この仕事に限ったことではありませんが、ある程度のことができるようになって初めて楽しさや面白さに気付き、やりがいを感じるものです。それまでは地味で辛いことも多いかもしれませんが、新しい景色が見えてくるまでどうにか耐えてほしいですね。

若い人たちには、夢を持ってしっかり人生設計をしていってほしいと思います。たとえば社会に出て5年後に独立して会社を立ち上げ、その2年後には結婚して子供を2人産み、マイホームを持つ、といった感じです。漠然としたイメージではなく、具体的に言葉にして自分に言い聞かせるのです。自分に宣言することで「実行しなければ」という気になるはずです。私もそうやって、設定した目標をすべてかなえてきました。どんなことでもいいので、目標を持って突き進みましょう。達成への道のりが険しくても、前を向いて頑張ってください。

ページの先頭へ