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里見允二
1987年生まれ、岡山県出身。兵庫の大学を卒業後、岡山の福祉施設に入社。デイケアに5年間勤め、2015年、サトミ紙工に転職。主に製造業などを対象に配送用の段ボールやパッケージなどを手掛ける。
http://www.a-do.ne.jp/satomisi/
※本サイトに掲載している情報は2021年4月 取材時点のものです。

INTERVIEW

自社を良くすることで、地域の他の企業にも良い影響を与えることができ、その輪が広がって良い企業が増えれば、地域は盛り上がるはずです。地域の人たちが「地元には良い企業がたくさんある」と認識してくれるようになれば、地元で就職する若者も増えるでしょう。そんな良い循環を多くの経営者たちと連携しながら作り上げていきたいと思っています。

「馴れ合い」の雰囲気を変えたくて

里見允二

祖父が若い頃に里見紙器工業を創業して、現本社工場移転からサトミ紙工(株)として設立しました。工場は私も幼い頃から出入りしていてなじみのある場所でしたが、ここで働きたいとは思いませんでしたね。年配の人ばかりであまり楽しそうに見えなかったのです。大学を卒業すると、地元の福祉施設に就職しました。ところが数年経った頃、祖父が認知症で介護が必要な状況になり、家族もみんな疲弊してしまいました。家族を近くで支えたかったので、父に頭を下げて家業に入らせてもらいました。
「良い会社」と褒めていただくことが多いですし、実際に社員たちはベテランも若い人もみんな人柄が良くて。しかし、だからこそ「馴れ合い」の雰囲気がありました。

それまでは私もどちらかというと「仕事は楽しければいい」という考えでしたが、馴れ合いから良いものは作れません。そういう部分を変えていくのが外の世界から入ってきた自分の役割だと思いました。「時代とともに会社も前に進まないといけない。良い部分は残しながら、悪い部分はどんどん変えていこう」と社員たちに訴えて意識を変えていきました。社員たちに現場で感じていることやアイデアをどんどん挙げてもらい、それをもとに会社を変えていく取り組みをしていました。なかなか現場の思いをくんでくれない役員たちに対して、身内である私が先頭に立って声を上げ戦っていました。

しかし数年後に私自身が役員になると、社員たちの提案に文句をつけたり突っぱねたりするようになってしまい、社員たちとの信頼関係が崩れてしまったのです。経営者像を勘違いしていたのかもしれません。こんな状態が続けば、本音を言い合えない「馴れ合い」の雰囲気に戻ってしまいます。シンプルなことですが、社員一人ひとりとじっくり話す時間を設け、「私が間違っていた。変わるから見ていてほしい」と自分の非を認めて謝ることから始めました。人が変わるために必要なのは、素直になることです。固定概念やプライドを脱ぎ捨てるしかありません。自分が本気で変わることで、社員との距離感は再び近くなっていきました。

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人づくり、ものづくり、社会づくり

地域の経営者団体で、同年代ぐらいの経営者と関わる機会が増えたのですが、家族経営の二代目、三代目で、さほど苦労せずに役職に就き、社長になることもできる。そんな環境にいるために危機感の薄い青年経営者も多く、このままでは地域の産業全体が衰退してしまうと感じました。若いからこそ、自分の可能性や役割、責任を自覚して、未来をしっかり考えられる経営者でないといけないと思いましたし、そんな仲間を増やせば地域はもっと良くなると考えました。

そのためには、まず自社からです。私たちは「人づくり、ものづくり、社会づくり」というスローガンを掲げています。社内で良い環境を整えて優秀な人材を育てて、良いものづくりをして、関わる周囲の企業にも私たちの思いを浸透させていきます。それを実現できれば、社会全体がもっと良くなります。ただの製造業の一企業ではなく、様々な人やもの、社会を良い方向に導いていくことを私たちの持ち味にしたいですね。地域にとって必要不可欠な会社を目指したいと思います。

うちは特別なスキルを持つ会社ではありませんし、もっと大きな会社はたくさんあります。それでも企画から納品までワンストップで手掛け、長年のノウハウや多くの協力会社との連携を生かして、地域密着でお客様のニーズに対してどれだけ柔軟に細やかに対応できるかで勝負しています。「今日中にほしい」とか「1つだけ作ってほしい」というような他の会社なら断るような短納期や小ロットのご要望にもできる限りお応えして、ニーズ以上の提案と対応力がサトミ紙工のファンになってくださる方が多い理由だと思っています。

自分の未来を作ることができるのは自分だけです。そのためには自分と向き合い、やりたいことを見つけたらそこに向けて行動し続けることが大切です。それが次世代を担う人の責任、役割であり可能性だと思います。行動し続けることでいろんな気付きや学びを得ることができます。頑張りましょう。

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