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久野和禎
東京大学経済学部卒。筑波大学MBA(International Business専攻)首席卒業。テンプル大学社会人講座講師(認知心理学・コーチング)。サンフランシスコ、ロンドンで子供時代を過ごす。大学卒業後に起業した後、複数の外資系大企業で多様なマネジメントポジションを担う。2015年、コノウェイ株式会社を創業。認知科学を基礎とした独自メソッド「CEOコーチング®」「ゴールドビジョン®メソッド」「フィードフォワード®」の普及を図っている。
https://conoway.co.jp/
※本サイトに掲載している情報は2020年2月 取材時点のものです。

INTERVIEW

コノウェイは、認知科学に基づいたコーチングを展開している会社です。最も得意とするのは経営者に特化したオリジナルのコーチング手法である「CEOコーチング®」です。認知科学は「脳と心」の仕組みを研究する学問であり、企業のトップが「脳と心」を上手に使いこなせるように指導することで、トップが自ら会社の成長へとつながる道筋を見つけて実行できるようにサポートしています。私は長年「誰でも実行可能なコーチング」の確立を追求してきました。この活動をもっと広げ、世界中の誰もが誰かの支えを得ることができる世の中にしたいと思っています。

7歳で気がついたコーチングの必要性

久野和禎

私の人生で「コーチング」の原点になったのは7歳の時の体験です。仲の良いクラスメイトから算数の宿題を教えて欲しいと頼まれた時のことです。彼は私の話を一生懸命聞いて解けるようになりました。私としては達成感があり「これで大丈夫だね。あとは明日のテスト頑張って!」と声をかけたのですが、最後になって「そうは言っても、どうせダメだと思う」とつぶやいたのです。
今ここで解けているのに、どうしてそのように思うのか、当時の私には不思議で仕方ありませんでした。次の機会があって、別の教科を教えると、その時も最後に同じようなことを彼は口にします。「大丈夫、きっとできるよ」と励ましてみたものの、最後まで変わることはありませんでした。不思議に思って、彼の暮らしをよくよく観察してみると、彼の母親が「勉強なんかしても仕方ないのよ」と勉強をすることに否定的な考えを持っていて、ちっとも応援してくれないのだということがわかりました。小学生の当時は、まさかそのことが原因で彼の思考全体が「自信を持てない状態」になっていることに気がつきませんでしたが、年を重ねて「人は、自信や自己評価の程度によって生み出せる成果が変わる」ということに気がつくようになりました。

幼い頃から人に何かを教え、サポートをすることが得意だった私は、20代になっても周囲の人を励まし、教え続けました。元々の才能に差はあれど、「誰もが自分の良さを生かして活躍できるはず」と信じている私は、「誰もができるようになる方法はあるはず」と教え方を模索し続けました。そうしているうちに、「できると思えばできる」というのが一つの答えだと思い至り、良い意味での「勘違い」が成果につながることに気がつきました。こうして、私がアドバイスをすると多くの人がうまくいくようになりました。この頃に私のオリジナルコーチングが形になり始めたと思います。その精度をもっと高めて、さらにどんな場面でも、誰にでも効果がある技術に高めることができないかと模索している時に出会ったのが「認知科学」でした。

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「認知科学」を土台としたゴール設定

「認知科学」の発見を土台にすると、脳は2つのコンセプトを同時に維持することができず、どちらか一方しか選択することができません。この発見を元にすると、ゴールは必ず現状から遠くに置く必要があります。なぜなら現状の近くにゴールを置いてしまうと、脳は、「現状を維持すればいい」と判断してますます現状が強化されてしまうからです。この「現状の外に、大きなゴールを持つ」ということを大原則にしたのが、CEOコーチング®の強みの一つになりました。最近は「ゼロイチ」という言葉をよく耳にします。新規事業を始める時、必ず「ゼロイチ」のプロセスを踏みます。確かに大事な一歩ですが、そこで満足していては大きな成功につながりません。「イチ」を成し遂げた後は「10(ジュウ)」でも満足せず、思い切って「100(ヒャク)」を目指すべきだと考え、私は「イチヒャク®」というコンセプトを提唱しています。
実際、「イチヒャク®」は不可能な話ではありません。この一見、突拍子もない「イチヒャク®」が「認知科学」によって説明され、実際に体験した人が圧倒的な成果を上げ続けていることで、常に多くの方がCEOコーチング®を受講したいと待ってくれています。

すでにCEOの職に就いている人は、それまでにすでにある程度以上の成果を上げているわけです。それでもどこかで壁にぶつかって、私のところに来てくださっています。その壁は一つ乗り越えたらそこで終わりではなく、一つ乗り越えたら、また一つあらわれます。今、その人がどのフェーズにいるのかということを把握し、7歳から40年近く続けてきた経験を生かしてサポートを行っていることが、好評を博している原因だと感じています。人は、自分で立てた目標を自分ごととして取り組むときに最も成長します。まず、CEO自身が壁を打ち破っていくと、それが幹部に伝わり、そこからマネージャー層、社員へと伝播していき、やがて会社全体に影響していきます。
「周りの人の良さを引き出す」というコーチングの姿勢は仕事だけにとどまらず、日常生活のあらゆる場面で生かされます。私は、CEOコーチング®のエッセンスをどんどん開示して、一人でも多くの人が使えるようになり、幸せになっていくことを願っています。世界中の誰もが誰かを支え、お互いが少しずつ今よりも幸せになっていく世の中を実現したいと思います。

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