- 阪本仁彦
- 1969年三重県伊賀市生まれ。2005年三陽建設本社建築部課長、09年本社営業部課長を経て、12年専務取締役に就任。18年、5代目として代表取締役に就任。
- https://sanyoukensetsu.co.jp/
私たち三陽建設は総合建設業として福祉・商業施設をはじめ、医療関係施設の工事を行っています。次世代へ長く受け継がれる企業となるため、そして社員の可能性を広げるため、ホールディングス化を進めていく予定です。人と人とのつながりを大切にしつつ、お客様のため、そして社員の幸せのために邁進し続けます。
「何も無いところから建物を築いていく」ことに興味を覚え、高校卒業後は建築の道に進もうと決意しました。3年生のときに就職のための企業訪問会に参加したのですが、そこで当時の当社の専務と面談をする機会があり、さまざまな話をする中で、そのまま自然と入社する運びとなりました。企業の方の話を聞いたのは後にも先にも当社のみ。今思えばとても運命的な出会いだったように感じています。
実際に建物をつくる最前線で働きたいという思いから、入社後は施工管理の仕事、いわゆる「現場監督」を希望しました。当時はバブル期で建築ラッシュの真っただ中。非常に仕事量が多く、最初の1年はあっという間に過ぎていきました。
仕事をしていく中で、非常に厳しい工期の現場もありました。しかし、協力会社の方と一丸となって切り抜け、1つのものを作り上げていく経験ができたことは、今の私にとって、かけがえのないものとなっています。決して私一人では成しえないことだからです。
「良いものを作りたい」という思いから、時には激しい議論が繰り広げられることもありました。しかし、「良いものを作りたい」という目標は1つ。その思いを皆で共有し団結できれば、より良いものが築けるということを、身をもって知ることができました。
そのような経験もあって、人と人とのつながりの大切さを痛感しています。議論をすることも、腹を割ったつながりがあってこそ。仕事とは人と人とのつながりでできているのだと思います。そういった意味では本当にたくさんの人に助けていただきました。
この仕事をしていく上では、年齢も会社も違う人たちと接していかなければなりません。元請けだろうと下請けだろうと、同じ目標に向かって議論をし、お互いが納得をして仕事を進めていく。それは私が仕事をしていく上で大事にしている「社員の満足度を高めることで、お客様に満足していただける良い建物が提供できる」という考え方にも通じます。
みんなで協力し合った結果が建物という、「形あるもの」になる。そしてそれが誰かにによって使われて、誰かのためになっていく。この仕事は日々そのような醍醐味を感じられる仕事といえます。
施工管理の仕事ののちに営業を経験し、今から7年前に役員に就任しました。役員は全体を把握する必要があります。また、上には社長しかいないため、ある程度、自分で判断する必要があります。自分の考えをもって交渉するために、慎重に考えることがより増えたように思えます。
その後2018年の5月末、株主総会で承認をいただき、代表取締役社長に就任しました。現在は工期や現場規模に応じた休暇制度を導入するなどの社内改革を行っています。さらに「給与の見える化」も推進。まずは評価制度をオープンにして、自分はどう評価されているか基準を明確にします。20年3月末に大方の骨格を作り、4月からの運営に向けてスタートしたところです。
今後は10社ほど会社を作り、ホールディングス化することを計画しています。現在は3社あるのですが、さらに分社化が進めば10人が社長となれるわけです。弊社は同族経営ではないので、誰でも社長になれる可能性はあります。今後はホールディングス化を見据え、経営者になり得る人材を育成し、分社化できるタイミングになればどんどん任せていきたいと考えています。
当然M&Aも視野に入れており、社内から育てていくパターンと、外部の後継者がいない会社などを承継してグループ化する、この2パターンで進めています。
会社が増えればポストも増えます。自分が一番やりたい仕事に就けるチャンスが広がるわけです。だからこそ社員には「やりたいことを持っている人」であってほしい。チャンスは誰にでも訪れます。そのチャンスをつかむために日々の努力をし、チャンスが来たときにしっかりつかめるようになることが大事です。また、何かあれば周囲に相談をするのは基本ですが、自分でよく考え、行動をすることも重要。ある程度、年齢を重ねた際は、自分の仕事だけではなく、常に全体を見られるようになっていてほしいですね。
今後の私の目標としては、会社の業務内容や待遇面を改善し、さらなる人材の育成を図ることです。当社は創立から65年が経ちますが、これから80年、100年と継承されるように、良い形で次世代にバトンタッチをしていきたいのです。
分社化は私1人ではできません。全社員が目標を1つに持ち、邁進していく必要があります。そのためにも常にビジョンを持って皆と語り合い、進んでいきたいと思っています。
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