- 尾崎隆
- 1989年、松本歯科大学卒業後、勤務医として6年間、一般歯科および補綴(ほてつ)という被せものやブリッジなどの人工物を扱う専門技術を修得。1999年、スマイル矯正歯科を開院。2012年、名駅インプラントセンター開院。
- http://www.meieki-dental.net/implant/
自分なりの哲学を見つけ出して確立させていくと、それが自分にとっての揺るぎない判断基準となり、生きる上での道しるべになります。判断基準のことを臨床の現場では「メルクマール」と言うことがありますが、私もそれを見つけてからは霧が晴れたようにいろんなことが分かって楽になりました。皆さんも自分にとってのメルクマールを見つけてみてください。
普通のサラリーマン家庭に生まれました。遊びでも何でも、一度始めると没頭しやすい子供だったようです。歯科医師になろうと決めたのは、高校生で進路を考える時期に差し掛かった頃だったと思います。親戚に歯科の関係者がいたのもあって、歯科医師のように技術を駆使する仕事がいいなと思ったのがきっかけでした。
歯科大学を卒業すると、勤務医として働き始めました。最初の3年間は一般的な歯科医院で虫歯や歯周病などひと通りの治療を手掛け、その後は補綴(ほてつ)といって被せものやブリッジなどの人工物を扱う専門の先生の元で3年間働きました。今振り返ると、勤務医時代の6年間は技術的な部分はもちろんですが、老若男女さまざまなタイプの患者さんと一対一で接することで多くのことを学びましたし、人として成長できたと思いますね。患者さん一人ひとりに合わせた治療をすることの大切さに気付かされました。
その後自分の医院を開業し、一般的な歯科治療と併せて、入れ歯で悩みを持つ人を救うために当時はまだ珍しかったインプラントも導入しました。この時期は歯科医師を対象にした勉強会や研修にも頻繁に参加しましたね。大変でしたが、楽しかったですよ。その中でも特に噛み合わせの分野に傾倒しました。ただ、噛み合わせに関して自分のメルクマールが明確ではなかったので、どれだけ勉強してももやもやしたものが残ったままだったんです。それが、ある咬合学の講習会で米国から来た著名な教授の話を聞いた時に、霧が晴れて視界が開けたようにストンと理解できたんですよね。感銘を受けた私は、医院を経営しながら米国に何度も足を運んで勉強しました。
簡単に説明すると、年齢を重ねても歯が残っている人には共通する法則があるので、そこを目標地点とする治療を進めていくことで噛み合わせが長く安定するというような理屈です。ここで学んだことが私のバックボーンになっていますし、現在力を入れている全顎(ぜんがく)治療にも生きていると思います。
最初に開業したクリニックに加えて、知人の紹介で新たにインプラントと歯科矯正メインのクリニックを3年前に開業しました。歯科矯正では従来のような金属の矯正器具ではなく、透明で取り外し可能なプラスチック製のマウスピースを使うので、装着時も目立たず快適に過ごすことができます。また、インプラントは「即時埋入」「即時荷重」といって、歯周病で歯がグラグラしているような患者さんでも抜歯からインプラント埋入、仮歯装着まで一度に済ますことができる手法を取り入れています。
どちらも技術的に簡単ではありませんが、患者さんの困りごとや悩みをどうにかしてあげたいと思うと、自然にこの治療法に行きついたんですよね。技術的な面はひたすら鍛錬を積み重ねることで向上したと思います。患者さんの多くは口の中全体を総合的に良くする全顎治療を求めてここに来てくださるので、自分のメルクマールと照らし合わせながら、理想に到達できるように心がけているところです。ありがたいことに、最近は遠方からわざわざ来てくださる患者さんも増えてかなり忙しくしています。
これからも患者さんの視点に立ちながら、患者さんが長く使っていけるような質の高いものを提供していきたいですね。いつも、そのことを念頭において治療にあたっています。少しでも長くこの仕事を続けたいと思っています。そのためにも、私自身の健康管理も大事にしていかなくてはいけませんね。
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