profile
太田陽一
1983年、東急不動産入社。95年東急リバブル出向。2007年経営企画部長就任。12年流通事業本部副本部長就任。同年取締役執行役員就任。14年関西支社長就任。同年取締役常務執行役員就任。18年経営管理本部長就任。19年取締役社長就任。09年GMBA修了。「Fair」機会の公平=(社員の)納得感、「Open」情報を毀損させない=(組織のコミュニケーションとして)晒して磨く(磨かれる)風土、「Integrity」経営に対する誠実さ=(経営者として)私をしない信念 の3点を大切に会社運営に取り組んでいる。
https://www.livable.co.jp
※本サイトに掲載している情報は2019年7月 取材時点のものです。

INTERVIEW

東急リバブルは売買仲介から、賃貸仲介、新築マンション分譲まで幅広い事業領域において不動産業を営む会社です。数多ある不動産会社の中でも、我々だからこそ持っている強みとは、掲げたビジョンに取り組む結束力です。目指すビジョンを、各組織が形にするために、ブランド戦略、事業戦略、構造改革などについて議論を繰り返し、一つの方向に向かって一致団結して挑戦し続けてきました。1972年の創業以来、受け継がれてきた結束力で、地域のお客様の暮らしへの思いを実現する存在であり続けることが我々の使命です。

熱い議論を重ねる風土が、会社を変える

太田陽一

幼い頃から父親に「世の中の流れを尊重することはいいが、自分の道は自分で決めろ。人と比べることはない」ということを教えられてきました。その影響か、ものづくりが盛んな世代でありながらメーカーに就職するというイメージをあまり持てない自分に気づき、自分が働いている様子がイメージできる業界を見つけたいと考えて、出会ったのが不動産業界でした。街を作っていくということに、目に見える形で携わることができるのが大きな魅力だったように思います。
不動産デベロッパーに入社したのは昭和58年。最初の配属先は大阪支店の販売部門でした。新築販売の営業と再開発や住宅の事業企画の仕事を9年間。現代とは異なり、モチベーションうんぬんよりも与えられた仕事を果たす責任に重きを置かれていた時代ですので、やりがいよりも理屈なしにゴールにひたすら向かって走っていた時期でした。その後、バブル崩壊により撤退し、東京に戻って配属されたのは労務管理の部署でした。3年ほど経ったのち、会社の経営悪化に伴い出向を命じられ、行った先が東急リバブルでした。
初めは新築営業をし、その後、人事、経営企画と経験を積みながらキャリアアップをしていったのち、経営企画課長への就任をきっかけに外部のビジネススクールへ通い始めたことが、私のその後のキャリアに大きく影響することとなりました。経営企画という部署で仕事をするのであれば、社内のことだけを知っているのでは通用しないという意識から行動を起こしました。そこでは様々な会社のケーススタディをしていくのですが、業種は銀行、デパート、小売、メーカーなど多種多様でした。業種に特化した知識ではなく、共通する経営のスタンダードの視点を学ぶことができ自信がついてきた私は、学んだケースを社内に当てはめ、試してみるようになりました。正直なところ、7〜8割はすぐに成果に結びつくことはありませんでした。しかし、その副産物が会社としての資産になりました。試した施策に対し、大声が飛び交うほど皆で真剣に議論し、会社の方向性について複数の組織が向き合うことを繰り返すことで、その動きが習慣化し根付いていきました。全社で何かを目指し、それぞれが真剣にコミットしていく風土こそが今の東急リバブルの強みでもあります。

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新しいサービス力を身につけた、これからの不動産流通業

社長になる前の時期で、心に残る出来事といえば、リーマン・ショックだと思います。不動産業界はダイレクトに景気の影響を受けますので、弊社も赤字へ転落する危機でした。その時、私は経営企画課長という立場でしたが、状況把握と危機感を説き、積極的に打開策に取り組むことで赤字にせずに済むことができました。こういった時に、赤字になるか、黒字のまま粘ってしのぐかでは、その後の会社にとって大きな差があります。
こうした、自身が任された仕事に対しての責任感や、経営に対する誠実さが認められ、経営管理部本部長を務めていた折に、社長就任を命ぜられました。経営の勉強は重ねてきたつもりではありましたが、実際になってみると想像以上に難しいポジションであると痛感しています。
社長になった今は、業界の存在意義自体を向上させるために貢献していきたいと思っています。不動産流通業というのは、一人ひとりがお客様と向き合い、それぞれの現場において物件を活用することで、経済そのものを活性化させているという、個の力が集まって世の中に貢献できる素晴らしい仕事だと思っています。「素晴らしい仕事をしているのだ」という実感を社員一人ひとりに感じてほしいと願っています。しかし、その仕組みも時代とともに変わり、昨今では情報がよりオープンになることで「不動産会社でなければ持っていない情報」というのが少なくなり、お客様と物件のマッチングもIT技術でシステマチックに行われるようになりました。私たちの提供価値は、今までとは別の軸で作り上げていかなければならない時代がやってきています。専門的知識の向上、人間的な経験に基づいて提案できる力など、付加価値を求めている人に届けていく仕事になってゆくでしょう。
最適化された価値を提供することで、お客様に評価をいただき、その評価を資源とし、環境を整え、それにより社員のモチベーションも向上するという好循環を作りながら、会社として成長を続けていきたいと思っています。

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