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小川嶺
1997年生まれ東京都出身。立教大学経営学部在学中。高校生の時にリクルート/サイバーエージェントでのインターンを経験。2017年、アパレル関連事業のRecolleを立ち上げるも1年で事業転換を決意。スキマバイトアプリ「タイミー」の開発に着手。18年にサービスを開始。
https://timee.co.jp/about/
※本サイトに掲載している情報は2021年7月 取材時点のものです。

INTERVIEW

経営者を志す前は、教師になることが夢でした。一度きりの人生、何かを成し遂げて生きた証を残したいと考えた時に、自分の教え子を輩出して次世代に何かを残すことができる教育の仕事に魅力を感じたのです。一代限りではなく後世に続くものを残すという意味では、経営も同じかもしれませんね。

空いた時間で効率よく

小川嶺

経営者を目指すようになったのは18歳の時でした。曽祖父の代から続く乳業の経営が祖父の代で途絶え、事業再建の志半ばで祖父が他界してしまったのを機に、「自分が世界に名を残す起業家になろう」と心に誓ったのです。それからは学校で生徒会長になって組織を動かすことを学んだり、企業のインターンシップに応募したりして、経営者の素養を身に着けるために積極的に行動しました。起業のことばかり考えて一人で突っ走っていたので、周囲からは変わったやつだと思われていたかもしれませんね。

大学進学後も経営学部で学びながら学生起業家団体を立ち上げたりビジネス系のサークルを作ったり、ビジネスコンテストに参加して優勝したりして、起業に向けてギアを上げていました。20歳の時、アパレルのマッチングアプリ「Recolle」の事業を立ち上げました。しかし、500万円の資金調達を受けられることが決まったところで事業をたたんでしまいました。自分のお金なら続けていたかもしれません。人のお金が入ってくることで「本当に人生をかけてこの事業をやりたいのか」が分からなくなったのです。人生で最初にして最大の挫折でした。私についてきてくれた仲間たちの貴重な時間と労力を奪ってしまい、自分は起業家に向いてないのではないかと悩みました。

事業資金を少し両親に借りていましたから、返済のためにしばらくアルバイトに明け暮れました。コンビニや物流、倉庫作業などの日雇いのアルバイトを転々としていましたが、なかなかお金はたまらず、飲み会の誘いも断らなければならず、「もっと空いた時間を使って効率良く働けるサービスがあればいいのに」と考えるようになりました。通常、アルバイトをしようと思ったら履歴書を用意し、面接や登録会に出向かなければいけません。就労までいくつも段階を踏む必要があります。また、いろんな現場で働いてみて、どの業界も人手不足の課題を抱えていることも実感しました。そこから、すぐに人手がほしい事業者とすぐに働きたい人を結びつけるスキマバイトアプリ「タイミー」の構想に至ったのです。

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リリースから4年で会員数200万人に

「Recolle」の苦い経験から「次に起業する時は他人を巻き込まず自分一人でやろう」と決めていたので、最初はマンションの一室で事業を立ち上げ、システムの構築もデザインも全部自分一人で手がけました。ある程度土台ができたところで、周囲に声をかけ始めました。「Recolle」の時と違うのは、「生涯かけてこれをやりたい」という気持ちに迷いがなかったことです。自信があったので、資金調達をいただくことも仲間を巻き込むことも、もうこわくありませんでした。リリースから4年の今、200万人の方が「タイミー」に登録してくださっています。最初は周囲の友人に登録をお願いして、会員が1人2人増えるだけで大喜びしていたのが、急に1日で何万人も増えるようになったので、実は自分の手で育てた実感があまりないんです。サービスが勝手に成長してくれたというか。そこに少し寂しさも感じますし、サービスに置いていかれないように私も頑張らないといけないなと思います。

私にもだらだらと動画を見たりネットサーフィンしたりして過ごした時期がありましたが、やっぱりもったいないですし、その時間を有意義なものに変えられるサービスがあればと思って「タイミー」を作りました。同じように「時間」にフォーカスした検索エンジンのようなサービスを作っていけたら面白いかもしれませんね。暇な時間に働くだけではなく、暇な時間に習い事できたり、出会えたり、おいしいものを食べられたり、まだまだいろんな可能性があると思います。

「タイミー」には働き手と事業者が互いにレビュー評価するシステムがあります。悪質な働き手やブラックな事業者は淘汰されますし、頑張った人はその分評価が上がるしくみです。「タイミー」を通して、頑張っている人や企業が正しく評価され、報われる世の中にしていきたいですね。
人生は一度きりです。行動を起こすか迷っているなら、ぜひチャレンジしてみてください。私も何度も失敗を重ねて、今も新しいチャレンジをしています。みなさんにも前を向いて突き進んでいってほしいと思います。一緒に頑張っていきましょう。

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