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小原浩志
1981年東京生まれ。高校生時代に行っていたビルメンテナンスのアルバイトをしたことがきっかけで、不動産管理業界へ。2001年にユニオン・シティサービス社に入社。菱和コミュニティー(現:クレアスコミュニティー)を経て、前職の上席が立ち上げた会社に入社し取締役へ就任。その子会社の代表取締役に就任した後、11年に独立を果たし、不動産の総合管理からリフォームまでをワンストップで行うエムズワンを設立。
https://ms-one01.com/
※本サイトに掲載している情報は2022年7月 取材時点のものです。

INTERVIEW

社員には欲を持ってほしいと思います。それが仕事をして稼ぐというモチベーションにつながるからです。年功序列制度は好きではありませんが、社歴や年齢を重ねると教える立場に回りますから、役職を意識的に与えるようにしています。立場が先輩であれ上司であれ、結局は同じ人間が教えるということには変わりません。それであれば役職手当をもらって教えたほうがいいと思うのです。役職を与える前に、何が足りないかをあらかじめ伝え、それを補うために頑張ってもらいます。それがその社員、ひいては会社の成長につながると考えています。

充実していたアルバイトの仕事が本業に

小原浩志

高校入学前の春休みに知人の紹介でビルメンテナンスのアルバイトを春休み中は毎日、高校が始まってからは土日にしていました。それがきっかけで、不動産管理業界に進みました。当時はお金を稼いで遊ぶために使うことが楽しく、1年生の2学期からは定時制課程に編入。平日昼間も土日もアルバイトをするという日々を送っていました。もちろん仕事がつらい時もありましたが、給与で欲しかったものが買える喜びもあり、充実していました。

その後、アルバイト先の元請け会社からの誘いで、そこで正社員として働くことになりました。初めの1年くらいは清掃部隊として、アルバイトを連れて現場を回る仕事をしていました。その後、管理部門に異動になり、役職以上の仕事をさせてもらえたのもいい経験になりました。その管理会社で建物管理について1から10まで学べたのはよかったのですが、同業他社の事業運営が気になり、向上心から転職をしました。仕事を一人で完結させることが多かった前職とは違い、転職先は完全に分業化が進んでいました。そのやり方にもメリットがあるのですが、自分の前後の仕事まで理解したり、作業の全工程を俯瞰(ふかん)したりすることができる人間が多くはありませんでした。私個人としては、精度の高い仕事を行うためには、そういったことができる社員が必要であると感じました。この経験があったからかは分かりませんが、エムズワンでは自分の仕事だけでなく、その前後で行われている全工程を把握している社員が多く、他部署の仕事への理解が浸透しているように感じています。

前職の上席が不動産管理会社を立ち上げるということで誘いを受け、再度転職をしました。その新しい会社ではキャリアを積み取締役に就任し、子会社の代表取締役も兼任するなど、会社運営に携わることになりました。しばらくは充実した気持ちで働いていたのですが、社長が協力業者への支払いを滞らせることがありました。その改善のために動いているうちに、社員への給与の支払いも滞るようになっていたのです。それがきっかけで辞任届を提出し、支払いをされていない協力業者を救済するために、エムズワンを立ち上げました。

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目標にしていた自社ブランドのマンション開発が間近に

立ち上げ当初は、私一人で事務所を借りる資金もなかったため、携帯電話とパソコンだけ持って自宅で仕事をしていました。事業を軌道に乗せるためには自分を追い込む必要があると感じ、家を購入するために15万円の住宅ローンを組みました。その当時の月の手残りが約15万円だったので、ローンの支払いだけで消える計算です。そうなると意地でもそれ以上稼がなければなりません。

しかし、営業に行って話を聞いてもらうことはできても、会社の歴史の浅さや資本金の額などを理由に断られることが続いていました。それでも営業努力が実り試しに使ってもらい 、少しずつ実績を積んでいきました。また、安いレンタルオフィスを借りて「新宿に本社がある」と大きく見せたり、社長である自分が現場に行ったのに、別の社員が行ったかのように作業報告を行ったりして、社員がたくさんいるように見せたことも、今となっては懐かしい話です。1年ほどで一人では手が回らないほどの仕事が入るようになり、社員を1人増員。しかしそのときの資金は200万しかなく、万一仕事がなくなった場合、この200万円でどれだけ雇い続けられるかと葛藤もしました。がむしゃらに働いた結果、そのお金には手を付けずに済みましたが、今でも人を新たに雇うときには、その社員に払う給与以上に稼ぐつもりで、自分を精神的に追い込んでいます。

今、自社ブランドマンション開発事業を計画しています。管理からリフォームまでできる当社がオーナーとなるため、住居にトラブルがあった際は仲介者なしでスピーディーに判断、対応できます。そういった点でのストレスがないのは、住んでいただく上でのメリットになるかと思います。この事業は3年位前に従業員との何気ない会話から生まれまして、あとは理想を実現できる土地さえあれば、というところまできています。以前であれば資金も、お金を貸してくれる金融機関からの信用もありませんでしたが、起業して11年の集大成が間近に迫っていることをうれしく思います。

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