profile
野嶋康敬
1964年生まれ、福岡県出身。大学卒業後は東京海上火災保険株式会社(現東京海上日動火災保険株式会社)に入社。約8年、法人営業、支店統括業務を経験。 30歳のとき父の会社が破産したことをきっかけにトップ保険サービス株式会社を設立し、代表取締役社長に就任、現在に至る。
https://www.top-hoken.com/
※本サイトに掲載している情報は2016年1月 取材時点のものです。

INTERVIEW

仕事を、お金を稼ぐための手段と考えるのだけはやめようと若い社員たちにいつも言っています。もちろん働いた対価としてお金を得ているのですが、それは結果の話。 社会人は起きている時間の大半を仕事に費やしますが、それがお金を稼ぐための我慢の時間だなんて辛いですよね。 自分の人生と仕事はできるだけぴったり合っていた方がいいと思います。今までいろいろあったけれど、私はこんなに良い職業に就けたことを心から感謝しています。 私にとって、仕事は生き様そのものです。

借金を返すだけの人生も覚悟した

野嶋康敬

私の父は、祖父が立ち上げた会社ノジマホケンサービスの二代目社長として、精力的に仕事をしていました。 いつ何時でもお客様の不測の事態に対応できるように、24時間電話に備えていました。携帯電話もない時代でしたから家を空けるわけにはいかず、私が子供の頃は家族で旅行をしたことがありませんでした。

大学を卒業すると、東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)に就職しました。 営業マンをしていた時、私のミスがきっかけで大手の取引先から出入り禁止を告げられたことがあったのですが、上司が「お客様を助けようとして前向きにやったことだから、間違ってはいない。 フォローは年長者がやるから気にするな」と言ってくださったのが印象に残っています。上司には非常に恵まれ、たくさんのことを学びました。

転機が訪れたのは30歳のときでした。父が、借金の保証人になったことがきっかけで多額の債務を負い破産したのです。 父の会社がつぶれたら、社員や契約してくださったお客様への裏切りになってしまうと思い、会社を継ぐ決心をしました。 借金を返すだけで人生が終わるかもしれないと思うと迷いもありましたが、私がやるしかないという使命感を感じていました。

最初は中傷ビラを街中に貼られたり、会社や自宅に街宣車が来たりと不穏な日々が続きましたが、 借金を早く返すことよりも今いるお客様にどこにも負けないサービスを提供することを最優先に考えました。保険代理店の価値は「この会社と契約してよかった」とお客様に思っていただけること。 お客様が事故やトラブルに見舞われた時に保険会社に投げるのではなく、代理店の私たちに何ができるかを追求しました。 たとえば自動車事故があれば、可能な限り24時間年中無休で現場に駆けつけるようにしました。お客様が保険を契約する時に顔を合わせ、話をしたのは私たちですから、 何かあった時も私たちが対応したほうがお客様も安心してくださると思ったからです。

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新規営業はしない

また、事故を未然に防ぐためのリスクマネジメントの提案や企業向けの研修も実施しています。 平たんな道のりではありませんでしたが、家族や友人、社員、そしてこの状況でも契約を続けてくださったお客様に力を頂いたことで事業は軌道に乗り、借金も10年足らずで完済することができました。

しかしお客様を優先するあまり、社員のことが置き去りになっていたことにある時気がつきました。私一人でできることには限りがあったので、 社員たちと思いを共有し足並みをそろえるためにも、組織には理念とか約束事というものが必要だと痛感しました。 そして、「お客様の最強の楯になる」「社員同士が感謝、尊敬し合い、感動を生み出す」「関わるすべての人の『よかった』を増やす」という企業理念を打ち出したことで、 少しずつ会社として成り立っていったように思います。毎年新入社員を迎えていますが、困っているお客様のために全力を尽くす意志を持った若者だけに来てもらっています。

私は、事業の拡大には興味がないんですよね。だから、売り上げや顧客数を伸ばすことは目標にしていません。 お客様に喜んでいただいた結果として仕事の幅や量が増えればいいと思っています。今いるお客様を大切にすることが先決なので、私たちは新規営業というものをしないのですが、 ありがたいことにお客様からのご紹介で顧客数は毎年増え続けています。今は、会社を「世界一サービスの良い保険代理店」にすることが目標ですね。

これまでの経験上、私利私欲のためにやったことは、うまくいかないことが多かったです。社員やお客様、世の中のためと思って頑張ったことのほうが、 結果的にうまくいっているんですよね。だから、迷った時は「世のため人のため」の道を選ぶようにしています。 誰でも、与えられた人生は公平です。せっかく与えられた一度きりの人生、一生懸命生きているか、全力を尽くしているか、ということを若い皆さんにも考えていただきたいと思います。

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