- 西田雄介
- 1984年生まれ、広島県出身。東邦大学卒業後、初期研修を経て東京女子医科大学病院に入局。整形外科専門医取得後、海外をバックパッカーで周る。帰国後在宅医療について学び、在宅医療普及のため2017年埼玉県にて開院。現在6クリニックおよび関連事業所、投資ファンドなど複数事業展開中。
- https://shusikai-group.jp/
忙しいときや自分に余裕がないときもありますが、目の前の患者さんが困っていること、今自分は求められているということを常に肝に銘じて、患者さんには自分の家族のように接するようにしています。家族におざなりに接したり、話を聞きもらしたりすることはありませんから。診療中の様子をいつ両親に見られても恥ずかしくない、そんな自分でいたいと思っています。
私たちは、在宅医療を総合的にサポートしているグループです。訪問診療、訪問看護、訪問リハビリ、訪問マッサージなど、自宅で過ごす患者さんのためのサービスを提供しながら、在宅医療につなげる外来のクリニックも展開しています。近年は高齢化で、通院できなくなってしまった方や認知症になってしまった方が増えており、困っている患者さんとご家族が増えています。そのような方々を包括的にサポートできるのが、在宅医療なのです。私たちの理念は、「心のこもったオーダーメイドの医療をお届けする」。患者さんとご家族の思いを最大限尊重し、その人たちらしく生きるお手伝いをしています。そのためにも、しっかりお話を聞いて患者さんとご家族の目線で診療を行うこと、できない理由ではなくできる理由を探すこと、常に最新の知識や技術を習得することに努めています。
父は内科の開業医で、広島の無医村で地域医療に携わっていました。一人で地域全体をみていて、外来も往診もこなしていました。私は経済学にも興味があったものの、父の背中を追いかけて医学の道に進むことにしました。研修医時代に外科手術に興味を持ち、整形外科に入局しました。病院に住み込み同然で手術に明け暮れ、一件でも多く手術をこなすことに全力を注いでいました。仕事自体は楽しかったですが、あまりの忙しさにその後の人生を見つめ直したくなり、医局を辞めて海外をバックパッカーでまわることにしました。
特に目的も決めずに、半年かけて南米各地やインドを旅しました。道中ではさまざまな人との出会いがあり、世の中には多様な考え方や生き方があること、一人ひとりが意志を持って生きていることを知りました。狭い医学の世界から一気に視野が広がり、私もしっかり自分で物ごとを考えて先に進みたいと思いました。帰国後は先輩が営むクリニックで1年ほど働き、そこで初めて在宅医療に携わりました。業務が細分化されている大学病院とは違い、在宅医療はチームで助け合いながら意識高く働いていることに衝撃を受けました。初めて退院後の患者さんの生活やご家族の思いも知ることができ、これからはこの分野に携わろうと思ったのです。
バックパッカー中に決めた「自分で考えて行動する」を実現するために、そして、在宅医療はこれから社会的ニーズがどんどん上がっていくことを見据えて、当クリニックを開業しました。場所の選定やチラシ配りなど、全てのことをコンサルタントは使わず自分で行いました。埼玉県越谷市を開業地に決めたのは、埼玉県の東部エリアが医療過疎地だからです。そのためか、開業当初から多くの患者さんにお頼りいただきました。それからもニーズが見えてきた地域にクリニックを展開していき、マッサージやリハビリを求めている方がいると分かってからは、それらの付帯サービスも始めていきました。
私たちのサービスはあくまでもニーズありきで、困っている人を助けるために足りないところを補うこと、求められていることをやることで拡充してきました。今注力しているのは、外来から在宅医療にスムーズに移行できる一連の流れの構築、医師過剰地域から不足地域への適切な派遣と開院、在宅医の育成、優良な医療介護事業や会社への適切な投資の呼び込みです。在宅医療は、医師だけの力では成り立ちません。多くの職種の方々と連携し、在宅医療の輪を広げることで、患者さんとご家族にとってベストな在宅医療を追求しています。また、医療従事者にとって心身ともに健康であることは必須なので、仲間同士でしっかりコミュニケーションを取る健全な職場づくりにも注力しています。
2024年には、グループ医院が10クリニック、訪問看護ステーションが3事業所、訪問マッサージ院が4拠点まで増えます。ここで培ったノウハウを、医療過疎地や在宅医療が少ない地域に広げていくつもりです。また今年はカフェを併設した精神科の外来クリニックを開院予定です。精神科というと顔を出しづらく地域に溶け込みにくいイメージがありますが、カフェを併設して足を向けやすい環境を作ることで、心が病んでしまう前に早めに相談できたり、地域の憩いの場を提供する空間にしたいと考えています。社内外の皆で知恵を出し合って新しいものをつくることは、すごく面白いしやりがいを感じます。私はもともと人が好きで、友人を大切にしていますし、あらゆる人間関係もとても大切にしています。この仕事をしているのも、そういう性格だからなのでしょう。
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