- 小林清
- 1949年生まれ、神奈川県出身。78年税理士試験合格。79年横浜にて開業。税理士資格のほか、行政書士、公的資金プランナー、株式公開コンサルタントの資格を持つ。東京地方税理士会所属。横浜の中小企業を中心に起業当初から成長に導く経営のパートナーとして、幅広いサービスを提供している。
- https://www.kobayashi-jp.com/
横浜で開業して約40年になりますが、時代の流れがどんどん速くなっていると感じます。IT技術の発達による通信網の整備がその一番の理由で、それに伴いお客様のニーズも多様化してきました。この流れを常にくみ取り、一歩先を読んでいくことが大切です。当事務所では個別の税務会計にとどまらず、会社設立や経営コンサル、M&A、相続など、それぞれの業務に特化した専門の所員を配置、幅広く対応をしています。これからも時代に即したサービスを展開していきたいと考えています。
5人兄弟の末っ子として生まれました。兄たちや近所の友達とよく遊んでいたのですが、遊びでも理にかなっていないと感じることがあれば、なかなかうなずくことができなくて。今から思うと、少しわがままなところのある子どもだったのかもしれませんね。税理士になろうと思ったのは、何か資格を持っていれば一生食うに困らないだろうと。兄の会社で経理の手伝いをしたことがあって、どうせやるのであれば専門家になってやろうと思い、税理士資格の受験を決意しました。
受験勉強は一生懸命しましたね。まず朝起きてすぐに机に向かい、仕事が終わったらまたすぐに勉強という習慣を欠かさず繰り返していました。友達とお酒を飲むときも必ず参考書を持って歩いていました。なかなか大変でしたが何とか資格を取ることができ、これで一生食べていけると思ったのですが、ある時ふと、受かってもすぐに仕事があるわけではないということに気がつき、頭の中が真っ白になりました。兄や親戚を頼ってなんとか何件かの顧問先を持つことができ、自宅の8畳一間に事務所を構えて開業。当時はコンピューターも電卓すらもない時代で、忙しくする時もあったのですが、妻とふたりでやっていましたので気楽なものでした。ただ、お客様が新たなお客様を紹介してくれて、会計事務所としては一番幸せなお客様の増え方をしていきました。
しかし、4年もたつと、今のままでは不十分なのではないかと思うようになりました。税務と会計に関しては十分なサービスを提供できていたのですが、中小企業の社長さんはもっと経営に関することも聞きたいわけです。ところが、私は特別にそういった勉強をしてこなかったので、相づちを打つので精いっぱい。企業の経営計画についてもアドバイスができる人間になりたいと思い、外部の勉強会に参加。そこで経営コンサルができるツールを見つけて、早速導入しました。当時は20MB(メガバイト)のコンピューターが約800万円。会社の年商とほぼ同じ金額でしたが、迷わず購入し、コンサルのサービスを開始しました。勉強をしながら自分でも事務所の経営計画を作ることで、お客様にもその経験を伝えることができるようになり、そこから業績も大きく伸びました。
近年は、時代の急速な変化に対応しきれず経営難に陥ってしまった、あるいは後継者不在のため会社をたたんでしまわれるというケースが多々あります。これを解決するための一手法として、M&Aがあります。時代に合ったやり方で新たな経営を行い、再び成長し続けられる企業にするという戦略です。中小企業の事業継承とその延長線上にあるM&Aは、われわれ会計人がやるべき、いちばんふさわしい仕事と思っておりますので、今後も注力していきたいと考えています。
また、これからますます少子化が進み、労働力がどんどん少なくなっていく中で、AI(人工知能)の活用が加速すると言われています。われわれの業界の仕事もいずれなくなるというような話も出ていますが、AIが発達すればどんな業種でもそれに伴った変化をしていかなければ淘汰されます。AIがあるがゆえにその業種はダメだというような考え方は、むしろ時代に合っていないと思うんですね。AIをいかに使いこなし、どう取り入れるかを発想できることが重要です。現在もすでにクラウドを使った経理事務処理の合理化が図られていますが、それでも企業内部だけでは解決できない部分があり、そういったところでわれわれが依頼を受けるのは、将来的にもそう変わらないと思っております。むしろAIを取り入れることで、われわれに一連の業務を一括委託していただくことも可能になる。AIをどう活用し、何ができるかを考えることで、この業界の将来は大きく広がっていくと思っています。
こうして振り返ってみると、税理士という仕事は自分の性格に合っていたように思いますね。横浜の中小企業をサポートしたいという思いは開業当初から一貫して変わっておらず、どうやったらお客様のニーズに応えられ、感動していただけるようなサービスを提供できるか、それを一番の重要目標としています。その時その時でお客様から求められるものが変わりますが、それに対応していくことが時代の変化に対応するということ。適切に察知して、進むべき道を早めに決定し、しっかりと対応していく所存です。