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泉澤憂介
1982年生まれ、東京都出身。少年時代は野球に打ち込む日々を送る。野球の推薦で大学に進学するも、ケガで引退を余儀なくされる。サラリーマンを経て身内の建築会社に就職したことがきっかけで今の職種へ。当時はトラックの運転から始まり、経験を積んだ後に独立。若手主体のチームでスピードと品質を両立させた「政泉」起業し、現在創立7期目。現在は戸建て住宅を中心とした基礎工事業を営む。今後は基礎工事の他に総合建築など更なる事業拡大を見据える。
https://www.seisen.co.jp/
※本サイトに掲載している情報は2021年8月 取材時点のものです。

INTERVIEW

まだ形になっていないことを公言するのは好きではありません。できなかったらカッコ悪いので。目標は心の中に持っていますが、あまり細かいことまで決めないようにしています。私は「なんとかなる」と楽観的に考えるほうです。それは決して運に任せて何もしないことではありません。「なんとかなる」と思えれば、無意識のうちに「なんとかする」ように行動するものです。ある意味、覚悟が決まった状態だと思います。

起業のために奔走したハードな日々が財産に

泉澤憂介

サラリーマン時代は仕事に不満はなかったのですが、通勤ラッシュがどうしても苦痛で半年ほどで辞めてしまいました。自分にはサラリーマンは無理だなとこの時思いました。退職してフラフラしていると基礎工事業を営む身内に声を掛けられ、この業界に入りました。知識も経験もゼロなので、雑用からのスタートです。学生時代はずっと野球をしていたので体力には自信があったのですが、好きでやる野球とそうではない仕事では心身の消耗の具合がまったく違いました。思った以上にきつく、よく「雨で現場が休みになればいいのに」なんて思っていました。仕方なく働き続けるうちに、ハウスメーカーや建物の構造によって基礎の形状にさまざまなバリエーションがあることを知りました。覚えることが多く大変ですが飽きることはなく、少しずつ楽しくなっていきました。

数年で大きな会社に転職し、同年代の職人たちと和気あいあいと仕事をしていましたが、30歳を過ぎた頃から独立を考えるようになりました。自分で何かビジネスをやることはずっと昔からの目標だったのです。当時の給料も決して悪くはなく、まだ子供も小さかったので、わざわざ現状を変えるべきか少し迷いましたが、あまり深く考えずに気付いたら行動を起こしていました。起業資金のために副業も始め、合間に経営の勉強会にも参加しました。家に帰り、子供をお風呂に入れた後は倒れこむように眠っていました。起業のことは自分の家族にしか相談していなかったので、後で知った友人や知人はみんな驚いていました。

2年に及ぶ準備期間と起業後1年ぐらいはとにかく死に物狂いで働きましたし、家族にも寂しい思いをさせてしまいましたが、「この経験があればこの先何があっても乗り越えられる」という自信につながりました。思い切って行動して良かったと今は思います。

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無理せず背伸びせず、謙虚に

独立当初は受注やお金のことばかり気にしていましたが、経営状態を左右するのは取引先との信頼関係や社員とのコミュニケーションなどの「人」の部分だと気付きました。特に、人を雇用し育てることの難しさに直面しています。世代間のギャップもありますし、理解が早い人もいればゆっくりの人もいます。一人一人に違う個性があり、「こうすればうまくいく」という正解がない中で常に手探り状態ですが、従業員たちが楽しくいきいきと働けるように気を配ることは苦になりません。

大切なのは、従業員を信じることです。私が首を突っ込んで1から10まで口出しをしていては成長しないので、「とりあえずやってみよう」と言っていろんなことを任せるようにしています。私が若い頃は自分の考えを聞き入れてもらえずに悔しい思いをしたので、若い従業員の意見にもしっかり耳を傾けるようにしています。今どき「おれについて来い」と言っても若い子はついてきません。こちらから歩み寄り、一人一人のことを理解してあげることが大事だと考えています。コロナ前のように飲みに連れて行ったりイベントを開いたりすることが今は難しいので、日常の中でできる限りたくさんコミュニケーションを取るように心掛けています。いずれ基礎工事だけではなく、家一軒建てられるような総合建築業を目指したいですね。そのためにもまずは「基礎屋といえば政泉」と地域の方に言っていただけるようになることが目標です。無理せず背伸びせず、謙虚に新しい道を切り開いていきたいと思います。もうけたいとか有名になりたいという気持ちはそれほどありません。家族が「頑張ったね」と認めてくれれば、それで十分です。

最近つくづくこの仕事が天職だと思うようになりました。逆に言えば、これしかできないなと。好きなことや趣味はいろいろあるのですが、それを仕事につなげていけるかと考えると、やっぱり今の仕事が性に合っていると思いますね。若者のみなさんも、今興味があること、心から楽しめることがあればどんどん挑戦して、夢中になってください。若いうちは失敗してもいくらでもやり直しが効きますし、その経験は将来の自分の糧になります。自分を信じて、挑戦を楽しんでください。

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