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岩木克彦
1970年生まれ、熊本県出身。88年、タイトーに就職。技術職で入社後、営業職へ異動し、以降、店長、テーマパーク責任者、スーパーバイザー、地方含めた営業部長、オペレーション採用教育部長、直営店舗営業部長など様々な役職を歴任し、2017年から執行役員に就任。20年からは、30年以上携わった施設運営からマーチャンダイジング事業本部長を経て、21年代表取締役に就任。
https://www.taito.co.jp/
※本サイトに掲載している情報は2022年8月 取材時点のものです。

INTERVIEW

いつの時代も、エンターテインメントは人々の暮らしとともにありました。大好きな人と大切な時間を思いきり楽しめる空間こそが、究極のエンターテインメントだと私たちは考えます。タイトーも70年の歴史の中で、形を変えながら様々なエンターテインメントを提供してきました。支えてくださるお客様に期待され、必要とされ続けるためにも、時代とともに進化を続けなければいけません。

厳しくも、成長を後押ししてくれた上司との出会い

岩木克彦

子供の頃、週末になるとよく家族でデパートに出かけました。妹と二人で100円玉を握りしめ、屋上遊園地のメダルゲーム機に駆け寄って夢中で遊んだものです。いろんなゲーム機や遊具が並ぶ屋上遊園地は宝箱のようにきらびやかで楽しくて、夢の世界でした。これが私のエンターテイメントの原体験かもしれません。私は長男なので実家のいぐさ農家を継ぐことを期待されていましたが、一度外で働いてみたかったので、高校卒業後にタイトーに就職しました。ゲームが好きでしたし、待遇も良く、地元にも営業所があったので両親も安心するだろうと考えたのです。

技術職として採用されたものの、営業の研修が思いのほか面白かったので、頭を下げて営業へ異動させてもらいました。最初の1年は千葉や船橋の営業所で働き、その後、都内の営業所に配属されました。30件ほどのロケーション(タイトーのゲーム機を設置するテーマパークやゲームセンターなど)を受け持つのですが、当時はスマホもカーナビもありませんでしたから、田舎出身の私にとって都内の複雑な道を縫って何件も訪ねて回るのは難儀でした。夕方に営業所に戻って「全部は回れませんでした」と報告すると、所長に「終わっていないのにどうして戻ってきた」と厳しく叱られました。もう一度出直して深夜に戻ってくると、所長は一人残って私を待っていてくれました。新規営業でも、所長が「あのエリアに営業をかけてみたらどうだ」と助言してくれたところへ行くとスムーズに契約が取れるのです。おそらく裏でお膳立てをして、私に成功体験を積ませてくれたのだと思います。この頃から仕事への向き合い方が大きく変わり、「やるからには一番を目指したい」と考えるようになりました。

3年目に店舗勤務となり、最初の店舗では店長として新店の立ち上げにかかわりました。店舗事業は、お客様の反応がダイレクトに数字に表れます。楽しかったら来てくれるし、楽しくなければ来なくなる。シビアですが、成果が目に見えるところに面白さとやりがいを感じました。

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店舗事業に依存しない、新たな事業の柱を

社長就任を打診されたのは、新型コロナウイルス禍で客足が遠のき、店舗の時短営業や休業が相次いだタイミングでした。「私に務まるだろうか」と戸惑いましたが、先代が進めようとしていた新しい事業や戦略を社内に浸透させ、着実に実行に移す役割を果たそうと決意しました。店舗主体の事業構造に大きな弱点が見えたので、2番手3番手の柱を作るべく、オンラインクレーンゲーム事業や商品開発の強化に取り組みました。社内の組織体制も見直しました。それまで事業部ごとに独立した動きをしていたので、その垣根を取り払い、それぞれのノウハウや強みを生かし合えるように交流と連携を進めています。まだ2年目ですが、少しずつ手ごたえを感じているところです。新型コロナウイルス禍を機に消費行動に変化が起こり、アミューズメント業界は大きな転換期を迎えています。それでも、人とのつながりやリアルなコミュニケーションへのニーズがなくなることはありません。リアルとデジタルを掛け合わせることで、時代に合った新しいエンターテインメントを創り出し、より多くの方に笑顔や驚き、人とのつながりを提供していきたいと思います。

元メジャーリーガーのイチロー氏が「遠回りだと思っていたことが実は近道だった」と言っていましたが、自分の人生を振り返ってみると、まさにその通りだと思います。新人時代からいろんなチャレンジをしてきました。失敗もたくさんありましたが、目的意識を持って行動すれば必ず結果は出ます。
多くの人は「最短でゴールしたい」「無駄なことはしたくない」と思うでしょう。しかし、チャレンジに無駄なことは何一つありません。あなたの頑張りを応援してくれる人は必ずいます。みなさんも、ぜひいろいろなことにチャレンジしてください。

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