profile
伊藤秀二
1957年2月25日生まれ、福島県出身。大学では経営学を専攻し、マーケティングに興味をもつ。卒業後、79年にカルビー株式会社に入社。工場での研修から営業、生産、管理などさまざまな部署を経験し、2009年から代表取締役社長に。継続的に成長しながらも高い収益を上げ続ける企業になるための改革として、自立的実行力をもって社員一人ひとりが自発的な風土づくりに取り組んでいる。
https://www.calbee.co.jp/
※本サイトに掲載している情報は2013年8月 取材時点のものです。

INTERVIEW

当社の商品は「菓子」という分類ではありますが、食品の一ジャンルにとどまらず、人とのコミュニケーションにおいて重要な役割を果たせるツールになるのではないかと考えています。 私どもが取り扱っているスナック菓子やシリアルは、原料の農産物や海産物を加工しすぎることなく製品に仕上げる食品といえます。「掘りだそう、自然の力。」というスローガンのもと、食品としての安全・安心を大前提に、自然から生まれた命をじょうずに使って、どのようにお客様にお届けするか。資源をムダにすることなく、心をこめた製品を開発してお届けし、喜んでいただくビジネスをしているんだという気持ちを大切にしています。

最善の努力を尽くし、一人前になる

伊藤秀二

子どもの頃は、田畑に囲まれたのどかな環境でのんびりと育ちました。大きな小学校ではありませんでしたが、児童会長も務めました。勉強はしっかりしつつも、あくせくせずに自由に過ごしていましたね。高校までは将来についてまだ深くは考えておらず、大学進学を機に東京へ。就職活動で東京に本社がある会社に絞っている中で、当時「ポテトチップス」を発売し始めたカルビーに興味をもちました。会社説明の資料にあった、「食品ビジネスが21世紀の基幹産業だ」というキャッチフレーズに惹(ひ)かれたのが入社の大きな決め手となりました。

入社後の研修期間では名古屋の小さな工場へ。「チーズビット」のオペレーション業務を任され、自分が「つくる」という工程に関わった商品が店頭で売られているのを目にするという貴重な経験を得ました。その後も営業をはじめ、生産や管理などさまざまな部署を経験しました。与えられた仕事がどんなものでも不満を持たず、どうすればできるのか考えながら最善の努力を尽くしてきました。外部の方々とのネットワークをつくり、手探りで勉強しつつ取り組んだこともあります。一人前になるまでやる。意地に近いですが、嫌な気持ちが残ったままでは仕事はおもしろくないし、必死にもなりませんから。

新規ビジネスや新部門の立ち上げなど、プロジェクト系の仕事に多く関われたことと、たくさんの上司の下で働くことで、多くの知識と経験を得ることができました。結果的に、社長に就任した当時、役員のほとんどがかつての上司だったため、本当に心強かったですね。

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チャレンジを繰り返し、ヒットからロングセラーへ

社員として30年働いてきて、自立的な実行力をつけなくてはいけないという思いが鮮明にありました。真面目に、与えられた仕事をしっかりこなせるのは凄(すご)いこと。ただ、自発的に動くことに対してはまだまだ弱いと感じています。これまでやってきたことの良い部分と悪い部分を認識して、企業活動のすべてを簡素化、透明化、分権化し、継続的に将来の成長を考えていける仕組みや体制をつくっていくことが今後の課題です。

当社のいままでを振り返ると、10年に1度のビッグヒットと、その間にも小さなヒットを繰り返してきています。ヒット商品を生みだすためには、お客様が求めている商品がうまくできあがって、それがブランドとして認めてもらえるようなレベルに達する、という過程を丁寧にやっていくしかないと思っています。

そして、このヒット商品をロングセラーにしていくこと。新しいコンセプトを加えて次のチャレンジをしていかなければ、沈んでいってしまう。もちろん、失敗した商品もありますが、常に守りに入らずに攻めのブランド開発をしていくことが成長を続けるためには必要なのです。うまく行かなければ失敗から検討を重ね、ときには止める決断も重要。これを繰り返してヒット商品を生みだし、長く愛されるロングセラー商品をお届けする。会社や従業員がもっている力をすべて注ぎ込み、お客様に喜んでいただける商品をお届けできる企業であり続けたいと思っています。

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