profile
石黒不二代
愛知県出身。1980年名古屋大学経済学部を卒業後、ブラザー工業に入社し、海外営業を担当する。結婚を機に退社。87年スワロフスキー・ジャパンにマネジャーとして入社。92年スタンフォード大学経営大学院に入学し、MBA(経営学修士)取得。94年シリコンバレーでハイテク系コンサルティング会社を起業。99年ネットイヤーグループの日本での創業に参画、社長兼CEO(最高経営責任者)に就任。同社の日本進出に伴い帰国し、2000年より現職。
https://www.netyear.net/
※本サイトに掲載している情報は2019年3月 取材時点のものです。

INTERVIEW

女性だからといって、時代が邪魔をしたって、子どもがいたって、やりたいことは絶対にあきらめませんでした。まわりを気にせずちゃんと自分が好きなことを選んだら、責任は全て自分で取れるんです。私がそうしてきたように、自分で自分にリミットを付けないで、自信を持って、やりたいことにとことん突き進んでいきましょう。

出産を機に渡米しMBAを取得

石黒不二代

私が四年制大学を卒業した頃は、四大を出た女性には仕事がない時代だったので、アルバイトから始めました。時代が変わり始めてからは、ブラザー工業で6年ほど欧米向けのマーケティングと営業をしました。女性差別はなく、やったことを公平に評価してくれる環境はありがたかったですね。 その後は外資系企業に勤めましたが、もう一度、ブラザー工業のときのように純粋で真面目なエンジニアと働きたいと思うようになりました。子どもが生まれたことをきっかけに、スタンフォード大学でMBAを取得。そこでもう一度ITを一からやり直したいと考え、卒業後にシリコンバレーで自分の会社をつくりました。 99年ごろにネットイヤーグループのアメリカ法人の経営権の買い取りに参加して、本社を日本に移行して今に至ります。

当社は、デジタルマーケティングのサービスを大企業を中心に提供しています。皆が同じものを使っていた時代はマスメディアでマーケティングしていましたが、今は全く異なり、利用者の興味関心は多岐に渡ります。そんな時代に最も効果的なのがデジタルマーケティングです。 情報があふれる時代になった今、最適なタイミングで最適なサービスにリーチできること、それが最高の顧客体験だと言われております。私たちはそれを実現するために、デジタルを使って特定の人の興味関心を分析して、その人にマッチする広告を出すなどの施策を打っています。

日本企業はマーケティングが不在で、営業が強い。本当にその人がその商品を欲しがっているかを分析せずに、気合いでモノを売っているんです。アラスカで氷を売るように、売れないモノでも売ってくるのが強い営業とされていますが、私たちからするととんでもない話。マーケティングはそれとは正反対で、営業が居なくても売れる仕組みを作ることです。 適正な製品と適正な価格、適正な流通経路に適切なものを置けば、営業が居なくても自然にモノは売れます。そこで、デジタルマーケティングという新しい手法を入れれば日本企業はもっと成長するんじゃないかと。 当初は企業側にマーケティングの主体がなかったので、市場を作るところから始めないといけませんでしたが、お客様を説得したりスピーチをしたり、色々な媒体でお話ししたりして概念を広めました。ただお客様の成長を信じてやってきましたね。

  • 石黒不二代
  • 石黒不二代

やりたいことに突き進み、自ら存在意義を確立してほしい

女性が社会で活躍することに対しては、依然として逆風も吹いていますし、差別もありますよね。もちろんそれらは解消されなくてはいけないことですが、私は女性側にも問題があると思っているんです。 女性は比較的自分のリミットを超えようとしない、やりたいことではなく出来そうな仕事を選んでしまう傾向がありますが、それはすごくもったいないことです。

男性が選ぶものを女性は選んでいないという事実は沢山あります。女性はファッション、小売、雑貨などを選びがちで、IT企業で働こうとか、まさか鉄鋼会社を始めようと思わないと思います。なぜならそこまで出来る自信がないから、自分のリミットを自分で考えてしまうからです。もう、そういう考え方はそろそろやめたほうがいいですね。 ITが好きなら遠慮しないでITをやる、この市場で自分がやればもっと結果が出せると思うならやる。そうしないと何も変わらないまま。やらせてくれないからと周りのせいにするのではなく、ちゃんと自分でやりたいものを選ぶことが大切です。

若い皆さんには、自分の力を信じて、自分に制限をかけないで、やりたいことをどんどんやってほしいと思います。ロールモデルと同じことをやっても、時代が違うのだからポジションには就けません。とにかく自分のやりたいことをやりましょう。やりたいことが分からなかったら、誰もやっていないことをやってみてください。 そこから得られる失敗が自分を成長させてくれます。好きなことを選んだら全部自分で責任が取れると考えて、ここなら自分の力を発揮できるという場所で、遠慮なく自分の好きなことに突き進んでください。

ページの先頭へ

Loading...