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五十嵐宏一
1961年生まれ、福井県出身。富山大学経済学部卒業後、総合商社の貿易部に勤務。86年OA機器の営業を経験し、99年株式会社コスモ技研創業。産業用ロボットを中心とした無人化システムの構想から現地生産立ち上げまでを展開している。
https://www.cosmo-gi.com/
※本サイトに掲載している情報は2019年8月 取材時点のものです。

INTERVIEW

コスモ技研は、産業用ロボットを中心とした無人化システムの構想から現地生産立ち上げまでを担っております。目指す姿は、規模や売り上げだけではなく、顧客満足度No.1です。そのために大切なのは、技術の向上はもちろん、それを創造し提供する我々の人間性の向上であると考えています。社内外ともに、幸せを生み出すことのできる会社を作ることが私の役割だと思っております。

父の背中を見て、働く男の理想を描く

五十嵐宏一

幼い頃から、父の影響で経営者というものを目指す意識は持っていました。父は、経営者ではありませんでしたが、会社のナンバー2として経営全般を任されていた役員でした。幼い私を、社員旅行などに連れて行ってくれたことで、会社の中で働く父の姿というものを目にしてきました。そこでの父は、いろいろな社員の方から慕われており、頼りにされている存在でした。そんな背中を見て「仕事をやる以上は、父親のような社員から頼られる存在になりたい」という思いを持つようになりました。

しかしながら、業種などは全くビジョンがなく、大学時代を過ごしても明確に思い描くものはありませんでした。独立までに3社を経験するも、どれも業種はバラバラでした。1社目は総合商社で営業力を培いました。2社目の事務機器メーカーでも、営業としてエリアトップにまで上り詰めました。その頃に、たまたま飲食店で出会ったのが、3社目に入社したロボット設備製造業の工場長でした。なぜか意気投合し、工場を見学に行かせていただいたことが私の大きな転機となったのです。巨大な設備を使い、自分たちが設計したものが一から形になっていく姿を見て、その創造の力に感動を覚えました。文系の私からすると、どんなことが起きているのかは全くわかりませんでしたが、壮大な世界観に心が躍りました。

すぐに入社を決め、営業として採用されるも、基礎知識がないことから現場の部署に配属され、技術者たちの動きを見よう見まねで勉強していきました。半年もすると、自分なりの意見を発信するようになり、その自由な発想力を買われてか、2年目にして社長から次期社長を任せたいと言われたのです。もちろん、ぜひいつかやらせてほしいとお答えし、経験と勉強を積み重ねることに全力を注いでいました。しかし、そこから10年経った頃、会社が提供するサービスの方向性をがらりと変えることが決定されました。私としては、変える前の姿が理想だという気持ちが大きく、独立をするきっかけとなったのです。数名とともに独立したのですが、もちろんはじめは思い描いたような仕事ばかりではありませんでした。食べていくための仕事を少しずつ積み重ね、少しずつ仕事の幅、人数を増やし、地道に拡大を続けてきて、今に至ります。今では新しい社屋も建設し、働く環境整備にも着手できるようになりました。

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社員が幸せに働くことが顧客満足を生む一歩

製造業という業界は、働く環境が整っているところが少ないというのが現状です。私は「この状態で、本当に顧客満足の高いものを生むことができるのだろうか」と違和感を感じてきました。そこでまずは、社員がきちんと満足して働ける環境を作ろうと考え、新社屋の建設を筆頭にオフィス改善に取り組んでまいりました。

新社屋の中でも特にこだわって作ったのが3Fのラウンジです。会議室のような堅苦しい作りではなく、発言者の方をみんなが見ることができる円を描くような形になっており、そこで数カ月に一度「座談会」を開催しています。20代から50代までバランスよく広がっている人員構成の中で、お互いの今のコンディションや、行動の根源にある考え方などを知る機会になるよう、毎回テーマに合わせて仕事面、プライベート面を交えた発表をしてもらっています。
私のポリシーは「係わる人みんなが幸せになってほしい」ということ。ある程度の摩擦があってもいいから、お互いハッピーでいられる状態を目指して話し合いができる社内環境を目指しています。創業当時は私とマンツーマンで話す時間を作ることも大切にしてきましたが、今は社員が増えて難しいこともありますので、皆で集合して環境改善のためにコミュニケーションを取れる場を作ることが私の役割だと思っています。

社員にとどまらず、社員のご家族、お客様、そして弊社が係わる会社の方々全てに幸せが届くためには何をすれば良いのかということを軸に、常に会社の中で必要な取り組みや仕組みを導入し、会社を進化させていきたいと考えています。

次のステージとして目指しているのは、スマートファクトリーの提供です。既に、3年前から大規模システムの納入を始めています。これまでは世の中にない設備を一点一点創って納品してきましたが、これからはそれにAIやIoT、ビックデータを導入しスマート化していくことが必要だと考えています。これまで提供してきたお客様へは、オプション的に導入できることを目指し、これから新たに提供するお客様へは、すでにスマート化された状態での提供をできるように双方で開発を進めています。

コスモ技研のあるべき姿というのは、大企業の成り立ちを真似すればいいというものではなく、我々にしか提供できない技術を愚直に追い求める事だと思っています。これまでの歴史を見つめ、これから係わっていく人たちの幸せを第一に考えながら、変化を恐れず、常に会社を進化させていきたいと考えています。

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