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細江千鶴子
岐阜県にて「サービス付き高齢者向け住宅アムール」と「訪問介護事業所アムール」を運営する。幼少期から家計を支え、看護師としての経験を積んだ後、2011年の東日本大震災を契機に高齢者福祉の道に進むことを決意。看護師の知識を活かし、地域に密着した介護施設を開設。スタッフと入居者への思いを大切にし、現在も福祉の発展に貢献しています。信念は「お金を追わず、仕事を追え」。
https://camarade-amour.jp/
※本サイトに掲載している情報は2025年2月 取材時点のものです。

INTERVIEW

入居者さんからは「観音様みたいな人だよね」と言われますが、亡くなった母がよく周りの人から同じことを言われていたので、私は母に似ているのでしょう。とにかく人が好きで、それを理由にこの仕事をしています。夜中でも、電話をもらえば走っていきますよ。社名のキャマラードはフランス語で「仲間」、施設名のアムールは「愛」です。入居者さんはみんな私の家族であり、職場のスタッフは仲間、その思いに尽きます。

自ら切り開いた人生

細江千鶴子

岐阜県で「サービス付き高齢者向け住宅アムール」を2施設、併設する「訪問介護事業所アムール」を運営しています。365日、入居中の高齢者と向き合う日々で、食事管理、健康管理、入浴・掃除・洗濯など日常生活のサポートをしています。その中で私は「3つの満」を心掛けています。「日常生活の満足」「四季折々の食材でお腹の満腹」「イベントや日々のレクリエーションで遊び心満載」です。一番力を注いでいるのは「満腹」。しっかり食べて健康を保つことが一番大事だからです。人間、若い頃は色んな欲がありますが、高齢になると欲がなくなってきます。それでも最後まで残っているのが食欲なので、高齢者だからといって質素なものを出すのではなく、おいしいごちそうをお出しして、満腹になってほしいと思っています。

私は4人兄妹の2番目として育ちました。幼少期は実家が貧しく、母も病気で寝たり起きたりの状態だったので、小学校2年生のときから家事や弟や妹の面倒をみたり、中学生になってからは学校から許可をもらって新聞配達の仕事をしたりしました。私が働かないと生きていけなかったので、とにかく必死で、新聞配達は3年間1回も休まずにやり遂げました。配達が終わったら家族みんなの食事を作って、所属していた陸上部の朝練にも行って、自分の学校生活にも手を抜きませんでした。この経験は私の原点であり、全てにおいての自信になっています。この頃から早起きが板についていて、今でも朝5時前に出勤して入居者さんの食事を準備しています。

医療の道を志したのは、中学生の頃。入院中の祖母の看病で病院に通っていたときに、医者になりたいと思いました。でも我が家には医学部を目指せるほどの経済力はなかったので、それなら看護師になろうと決め、岐阜の看護学校に通いながら定時制高校に通いました。2年で准看護師の資格を取ってからは、病院で働きながら高校を卒業しました。その後も正看護師の資格を取るために新たに学校に通い、かれこれ勤労学生を7年間続けました。これまで、産休以外は一度もブランクなく働いてこられましたし、今もこうして現役でいられるのは本当にありがたいことです。

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夢は持たない、目標は持つ

転機となったのは、2011年に発生した東日本大震災です。故郷である福島も大きな被害にあい、多くの高齢者が命を落としました。それを見て、確かに病院には病院の役割があり、看護師の仕事も素晴らしいけれど、これからは高齢者の手助けをしていきたいと考えたのです。そこで、高齢者施設を開設することを目標に定め、思い切って病院を退職。色んな介護施設のコンサルティングをしながら経営や介護のことを学び、施設経営に必要な知識を自分のものにしていきました。10年経って、ようやく「サービス付き高齢者向け住宅アムール」を設立。看護師としての知識も生かしながら感染対策にも力を入れてきたおかげで、新型コロナウイルス禍も無事に乗り越えました。

オープン当初からのスタッフもたくさんいて、本当に助かっています。私の役目は、スタッフが気持ちよく安心して勤め続けられるように、安定した給料や福利厚生を提供することです。職場が大好きなら自然と入居者さんへも優しく接することができますし、それが私にとっても一番の幸せです。今注力していることは、訪問看護ステーションを開設すること、福島県南相馬市に住宅型有料老人ホームを開設すること、すでにある施設の近隣に高齢者と子供たちが活用できる施設を開設することです。これらによって新しい雇用も生み出せるので、入居者にとっても地域の人にとっても様々なプラスの効果があると信じています。

私の信念は「お金を追わず、仕事を追え」。お金もうけで動いてしまうと本来の自分からずれていきますし、大体失敗します。人のために喜んで一生懸命仕事して、その対価としてようやくお金がついてくるのです。ですから、仕事は今自分がやりたいこと、やってみたいこと、やってあげたいことから入っていくことが大切だと思います。私は周囲の人からは苦労人だと思われますが、その自覚は全くなく、置かれた状況を乗り越えてきただけ。目先の目標を一つひとつクリアしてきたら、大きな目標に辿り着いていただけです。私は、目標は持つけれど夢は持たない性格。これからも自分にできないことはないと信じていますし、決めたらやる、ただそれだけですね。

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