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廣田朋也
1979年生まれ、東京都出身。2001年、光通信に入社。クレイフィッシュ(現e-まちタウン)取締役、パクレゼルヴ(現在PRECSに吸収合併)代表取締役を経て、10年にグルーポン・ジャパン(旧クーポッド)設立。MUSE&Co.、TERMINAL、フォーナイン、CLAS、エスシーテクノロジー、マイゴルなどインターネット領域でスタートアップ企業を多数起業。
https://rpst.co.jp/
※本サイトに掲載している情報は2022年7月 取材時点のものです。

INTERVIEW

「世のため人のため」のような立派な理念はありません。まずは人を継続的に雇い、利益を上げて、しっかり税金を納めることで社会貢献になればと思っています。縁あって関わってくれた人に「この会社に参加してよかった」と思っていただくことが一番大切です。自分たちが日本の社会を変えられるなんておこがましいことは今の時点で考えられません。立ち位置が変われば考え方も変わるのかもしれませんが、まだ道半ばです。

誰もやらないからこそチャンスがある

廣田朋也

幼い頃から常に、大人の言うことや学校の規則に疑問を持っていました。人に迷惑をかけないことは大前提ですが、理にかなわないルールや常識に縛られるのは嫌でした。だから起業という道を選んだのかもしれません。

社会に出るとき、学歴も経験もコネもありませんでしたが、根拠のない自信だけは持っていました。しかし、必死で受験勉強した人に勝てるほど世の中が甘くないことはわかっていたので、彼らが勉強で努力してきた分、私は全力で働こうと決めて社会に出ました。サラリーマン時代の23歳の時、IT(情報技術)バブルが崩壊し、インターネット事業は将来性のないあやしいビジネスだと敬遠されるようになっていました。私は、誰もやらないからこそチャンスがあるのではないかと考え、自ら社内のインターネット事業に参画しました。事業者が少ないうちに飛び込んだので、自分たちでルールやビジネスモデルを作ることができ、大赤字だった事業は1年で10億円以上の利益を生むまでに成長し、最年少で一部上場会社の役員になりました。

その後、パクレゼルヴという会社を立ち上げ、前職で手掛けたガラケー向けの広告やコンテンツ事業を展開しました。パクレゼルヴは複数の子会社やジョイントベンチャーを派生させ、IT領域の中で事業を成長させていきました。2010年頃、米国で共同購入型のクーポンサイトが話題になっていて、運営会社は創業からわずか半年で40カ国以上に進出し、非常に速いスピードで一兆円の時価総額になった会社で、大きなインパクトがありました。私とビジネスパートナーはいち早くこのサービスに注目し、日本法人を立ち上げました。すぐに米国本社に事業売却することになるのですが、私を含め、株式を持っていた役員メンバーはみんな多額のキャピタルゲインを得ることができました。短い期間でしたが、全国に支店を作って年間数千人を雇用する経験ができたことは大きな財産になりましたし、自信にもつながりました。

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1事業1社化で、多くの経営者を生み出したい

パクレゼルヴの事業の一つであったECサイトのカートシステムを構築するサービスを、13年にPRECSとして分社化しました。PRECSは「リピスト」というサービスを毎年伸ばし続けて、今は700サイト以上に提供しています。他にもパクレゼルヴやPRECSのエンジニアとビジネスチームを組み合わせて、アパレル、家電・家具レンタル、会員制ゴルフ、医療、マーケティングなど、多岐にわたるコンテンツとITを掛け合わせた新しい事業を展開しています。決して手当たり次第に何でもやるわけではありません。どんなに収益性の高い事業でも、他社に後れをとるようであれば参入しません。市場が小さくてもいいので、その業界、領域の中でトップ争いをできる事業だけを選ぶようにしています。

また、立ち上げた事業は私を中心にグループ会社として束ねるのではなく、分社化して、各事業責任者を中心に主体的に運営してもらっています。理想は、みんな同じ国に所属していても、州ごとに憲法や法律を持ち、独立した国のような権限を持っている「米国」のような組織体です。すべての事業を私が動かそうと思っても、1つの事業に割ける時間は限られています。各事業のメンバーは自社のことに専念できるので、私よりもずっと事業のことを知っていますし、的確な運営ができるはずです。だから私は表に出ようと思いませんし、名前が売れなくてもかまいません。事業を動かしている人にスポットライトが当たればいいと思っています。今まで数多くの事業を立ち上げ、リーダーが育ってきました。これからもITを軸に新しいことに挑戦して、たくさんの経営者を輩出したいと思っています。自分のチームから10人のビリオネアと100人のミリオネアを生み出すことが、私の目標です。

これまで「逆張り」によって成功してきました。誰もが目を向ける王道ではなく、みんながやりたくないことに敢えて挑戦したことで、良い結果をもたらすことができたと思っています。日本では子供の頃から「みんなと同じように足並みそろえて」と教育されますが、若者のみなさんにはどうか周囲に流されず、自分の気持ちに耳を傾けて、やりたいことに挑戦してほしいと思います。

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