profile
古内康敏
1967年生まれ、東京都出身。91年、芝浦工業大学工学部電気工学科卒業後、PFU、ワークスペースを経て99年にフリーのSEとして独立。2004年 、システムD3を設立。
https://sys-d3.com/
※本サイトに掲載している情報は2021年2月 取材時点のものです。

INTERVIEW

私は、強力なリーダーシップでぐいぐい引っ張っていくようなタイプの経営者ではありません。自分ひとりでは何もできない分、常に周囲への感謝の気持ちを忘れずにいたいと思っています。クライアントには、お仕事をいただけること、またその仕事を通じて成長の場を与えてくださることに感謝していますし、社員たちには、この会社に在籍してくれていること、様々な形で会社に貢献してくれていることに心から感謝しています。

対話が求められる「フィールドSE」を目指して

古内康敏

学生の頃から、就職するならコンピューターの仕事がしたいと考えていました。プログラムを書いたり設計したりするだけではなく、人と向き合いながらシステムを組み上げるような仕事に憧れました。自分なりに調べて、コンピューターを導入するクライアントに営業担当者と一緒に出向き、対話を重ねながらシステムを作り上げていく「フィールドSE(システムエンジニア)」という職種があることを知り、これだと思いました。

大学を卒業するとメーカー系SIerに就職し、交通監視センサーなどの制御系システムを扱うフィールドSEとして働きました。家庭事情により一旦退職して小さなソフトハウスで細々と仕事をしていたのですが、前職で新人時代に面倒を見てくれたリーダーが「また一緒に仕事をしよう」と声をかけてくださったのです。それを機に、独立してフリーのSEになりました。

ちょうどその頃、中小企業挑戦支援法が可決して1円起業が可能になりました。同時に、偽装請負が社会問題となり個人で仕事を受注することが難しくなっていたことから、お客様からのご助言も頂き、法人化することにしました。社長になりたいわけでもなかったので、10年ぐらいは社員を雇わず私一人でした。経営や事務処理、社会保険のことなど、本業以外のことは何も分からなかったので最初の数年はかなり難儀しました。何もかも手探り状態でした。幸いなことにお客様からの依頼が増えてきて一人では対応できなくなったので、少しずつ採用を始めました。年間に2、3人ずつ増やし、今は20人のエンジニアを擁する会社になりました。

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エンジニアのスキルアップを会社で応援

単発の案件に対してエンジニアを商品のように派遣するのではなく、システム全体をプロジェクトとして会社で請け負い、エンジニアの技術を駆使しながら完成させるのが私たちのやり方です。基本的に私がプロジェクトをマネジメントして、技術面の方向性をある程度示したうえで仕事を割り振っていましたが、最近は社員たちが「こういうやり方をしようと思うのですが」「任せてください」と言って自主的に動いてくれるので、頼もしく感じています。

縁あってこの会社にいてくれる社員たちには、楽しみややりがいを感じながら仕事をしてほしいので、できる限りその環境を整えてあげたいと思っています。技術資格を取るための費用を会社で負担するなど、スキルアップ支援には特に注力しています。エンジニアのスキルアップは本人のモチベーション向上につながるだけではなく、会社の成長を支えてくれますから。私たちが目指すのは、お客様から信頼され、求められる技術者集団となることです。理想は「お客様に指名されるSE」。現在、エンジニアのうち数人がお客様にご指名いただいています。経営者にとってもこれ以上うれしいことはありません。そんなエンジニアをこれからも育てていきたいですね。

会社を作ったからにはどんどん大きくするのも悪くないのですが、今、会社全体のマネジメントができるメンバーは私しかいないので、私が俯瞰(ふかん)できる範囲にしか広げられないと思っています。そう考えると社員数は20~25人ぐらいが限界かもしれません。社員たちにはエンジニアとして技術を磨いてほしいので、会社経営・マネジメントを手伝ってほしいという思いはありません。ただ、役割を与えることで思いもよらぬ成長を遂げることがあるのも事実です。今までメンバーの一人として動いていた若手にリーダー職を与えると、きちんとチーム全体を見て先導してくれるようになったこともありました。今後、マネジメント層に上がってきてくれるような人材が育ってくれればうれしいですが、無理をせず、会社として身の丈に合った成長を続けていきたいですね。

コンピューターシステムも結局は人が使うものです。それを設計する我々もまた、人です。だから、何よりも人を大切にする企業でありたいですね。若者に成長の場、自己表現の場、活躍の場を提供できる会社でありたいと思います。みなさんにもそんな場がどこかに必ずあるはずです。みなさんの持ち味や能力を発揮できる場所が見つかりますように。

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