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赤鹿保生
1966年生まれ。兵庫県出身。芦屋大学教育学部卒業。マンション分譲会社の営業を経て、99年に赤鹿地所の社長に就任。兵庫県南西部において独自の手法で住宅地・商業地の開発を展開、不動産賃貸会社、マンション管理会社などの関連グループ3社を経営。
https://www.akashika-jisho.co.jp/
※本サイトに掲載している情報は2021年2月 取材時点のものです。

INTERVIEW

私たちが目指すのは「不動産価値創造企業」です。単なる販売や仲介だけではなく、手がけるすべての不動産に新しい価値を生み出したいと考えています。地方には、いまだ手付かずの農地や事業跡地、市街化調整区域など、様々な事情で持て余されている不動産が数多く存在します。そのような難しい案件に着手し、地域に調和し多くの方の生活を豊かにする不動産開発に取り組むことが私たちの使命です。私たちが開発した土地が美しい住宅地や商業施設へと姿を変えることで、地元姫路が活気のある魅力的な街になればこんなにうれしいことはありません。

経営難を機に、会社のあり方を見つめ直した

赤鹿保生

父は建築会社を創業し、部門ごとに次々と子会社を立ち上げて事業を拡大していましたが、私は父の仕事にまったく興味がなく、学生時代はカートレースに夢中でした。

大学卒業後は分譲マンションの会社で営業の経験を積むと、25歳で父が立ち上げた会社の一つである赤鹿地所に入社し、経営を任せてもらいました。ほとんど実働していない会社だったので、まずは住宅仲介業務を始めて、社員3人で毎日2000枚のチラシを配り、問い合わせの電話を待つ日々を過ごしました。しかし最初は全く問い合わせが無く、集客にはとても苦労しました。まれにお問い合わせ電話をいただくと、「何が何でもこのお客様のご希望に合った物件を探し出そう!」と燃えましたね。その時に感じた1件のお問い合わせの重さとありがたみは今も決して忘れないようにしています。その後、徐々に仲介業務も軌道に乗り、父の経営するマンション分譲会社の販売受託を手掛けました。売り上げが飛躍的に伸びたのもつかの間、2年ほどでマンションブームは急落、販売受諾は解消されました。瞬時に売り上げの7割を失いました。その頃マンション販売に20人程の販売人員を抱えており、人件費の負担が大きかったため、経営が立ち行かなくなりました。そこで、断腸の思いで社員の解雇に踏み切りました。

辛い経験でしたが、社員の生活や幸せを守ること、姫路の地で不動産業を営むことの意味を改めて見つめ直すきっかけになりました。そもそも何のために経営しているのか?経営理念や将来のビジョンなどを明文化し、「成長・創造・貢献」の今の経営理念が出来上がりました。自社の存在価値は不動産の価値創造にあると、気づきました。また、もう二度と社員を不幸にするようなことはしないと心に誓いました。

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宅地分譲開発に活路を見いだす

会社再建の大きな後押しになったのは宅地分譲事業でした。以前から仲介で依頼を受けていた農地を自社で買い取り、建築条件なしの宅地分譲地として販売したのです。当時は土地と建物をセットで販売する建売分譲が圧倒的に多かったので、このような売り方は新しい試みでした。注文住宅を建てたい方などから多くの需要があり、問い合わせが相次ぐようになりました。

初めは自社の分譲地だけをお客様にご紹介していましたが、地域の同業他社が扱う分譲地も私たちが受諾販売して、地域の新規分譲地の95%程を取り扱う事ができ、土地探しをしているお客様にワンストップでご紹介する事でより専門性を高めて参りました。注文住宅を建てる場合、土地の次に建物を選ばなくてはいけません。お客様と接するうちに、数ある住宅会社の中でどこを選べばいいか分からず多くの方が悩んでいることが分かりました。昨年秋、そこで土地探しと併せて、最適な住宅メーカーや工務店を無料でご紹介する「いえとち相談窓口」というサービスもスタートしました。お客様の予算や希望する設備、性能、デザインなどをヒアリングして、姫路市内50社以上の提携先の中からお客様の希望にマッチする住宅会社を紹介するものです。中立公正な第三者の立場なので、各社のデメリットもはっきり伝えられますし、複数の業者の比較検討もできます。ありがたいことに、家づくりを検討しているたくさんの方からお問い合わせをいただき、週末はいつも予約でいっぱいになっています。

今後もお客様の声に耳を傾け、ニーズに応えていきたいですね。今は宅地分譲が事業の柱になっていますが、そこにこだわらず社会のニーズに応じて様々な可能性を模索していきます。そして、あらゆる不動産の問題を解決し、新しい価値を作り出すのは「人」の力に他なりません。創造性を発揮し、新しいサービスを生み出せる人材を育てていきたいと思います。働き方改革が叫ばれ、仕事の時間が制限される時代になりました。でも、寝食を忘れるほど夢中になれるような仕事に出会えるのも幸せなことだと私は思います。夢中で取り組めば必ず仕事のスキルは上がり、多くの人に認められ必要とされます。

いろんな選択肢がありますが、中小企業のいいところは本気で仕事に取り組めば必ず認められ、いずれ経営に参画できるチャンスがあるところです。会社の中枢で戦略や経営にかかわることは本当に面白いです、働くことの醍醐味だと思います。どんな道を選んでも、本気で取り組めばきっとあなたの人生は変わります。頑張ってください。

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